ハレルヤ

冷血のハレルヤのレビュー・感想・評価

冷血(1967年製作の映画)
3.7
アメリカのカンザス州で一家4人が惨殺される事件が発生。警察の捜査の様子と犯人である2人の若者の姿。死刑に至るまでを描いたサスペンス映画。

原作はトルーマン・カポーティというところが注目の本作。しかも実際に発生した殺人事件から着想を得ているのも驚き。興味を持って鑑賞しました。

本作の主軸は犯人であるペリーとディックの2人のロードムービーのような放浪記。そして事件を追求し犯人を追い続ける警察の捜査劇。この2つの物語が並行して展開されます。

現代の映画ならもっとサスペンスフルな演出を施すと思いますが、本作は至って淡々とした雰囲気。なので全編緊迫感のあるサスペンスという形ではありません。

凄惨な事件が起こっている割には静かな作風。でもその様子が逆にリアリティが感じられます。そして後半で明らかになる犯行の様子。それまで平穏に過ごしていた一家が拘束されて成すすべ無く次々とショットガンで撃たれていく。実際に撃たれる瞬間は映さなくても、被害者たちの恐怖は凄く伝わってくるものでした。

そしてラストの死刑執行の場面。今度は自分たちが同じような立場になる。死への恐怖が隠しきれない2人。犯行の場面と死刑の場面を近くすることで、犯人2人の心情が分かりやすくなっています。映画としての構成も見事。

この「冷血」というタイトル。初めは犯人たちの事を指していると思っていましたが、終盤での死刑囚に接する刑務官たちの様子も機械的。そして戦慄の死刑執行の様子を見た観客側も血が冷たくなるような感覚。あの一連の場面でもそのタイトルの意味が分かったような気になりましたね。
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