ボーダノヴィッツは、友人二人に対する本作品の立ち位置をフロイトの言う"魔法思考(Magical Thinking)"を用いて説明している。それは"自分の行動によって愛する人が死から蘇るかもしれないという無意識的な期待を以て、儀式的な行動に傾倒すること"としており、監督は修論でジョーン・ディディオンの「The Year of Magical Thinking」から"夫が戻ってくるかもしれないから靴を捨てられない"というエピソードを引用している。監督の人生の流れの中で、ポルダース、アフ・クリント、カンディンスキー(=ジャコモ)という別々で知り得た記憶を関連付けて、映像世界に昇華させることこそが、彼らをこの世界に留め置き、蘇らせるような行為に他ならないのだ。