ユーライ

ブレット・トレインのユーライのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.5
伊坂幸太郎の小説は全く読んだことがないんだけれど、巷で言われているような作風が何となく理解出来た。中学二年生のプロットにいちいち回りくどい理屈付けをしながら、しかもその「伏線」がいくら何でも雑に過ぎるにも関わらず妙にドヤ顔をしてみせる辺り古沢良太と似ている。苦手。それを動きではなく台詞で全部説明せずにはいられない。さぁ「伏線」を貼りましたよと言わんばかりに小道具をチラッと映すのもとにかく鬱陶しく、唯一面白いと感じられたのはミネラルウォーターの主観転がり芸くらい。新幹線内に限定された場で起こるアクションも、各駅停車する列車と同じように連続された動きが寸断された細切れのフッテージにしかなっていない。閉所を使った工夫のダイナミズムがない。R-15に指定されているだけあって天丼される死体損壊ギャグは好ましく見た。あとはこの前の東京五輪マスコットキャラのパチモンみたいなぬいぐるみがやたら不憫な目にあったり俊敏な動きをしたり……これ系に弱い。にしても、倫理観を明後日に放り投げて上等の殺し屋映画で中途半端に倫理的な「気の持ちよう次第さ!」みたいな安直なメッセージを投げるのに腹が立つ。もっとナチュラル・ボーンに格好良いイカしたイカれ方が見たいのだ。
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