菩薩

猫と塩、または砂糖の菩薩のレビュー・感想・評価

猫と塩、または砂糖(2020年製作の映画)
3.5
いやいやなんの映画やねん、とツッコミを入れたくなる独特の世界観であったが、そういえば中編『食卓』もこの様な映画であったし、それをスカラシップを上手いこと活用して長編へと練り直した作品になるのかもしれない。統制された混沌の中で生きる人間の姿と混沌の統制が取れ更なる混沌を生み出し再び統制へと落ち着いていく様。家族の幻想に囚われた旧統一教会旋風が吹き荒れる今観るのは非常にタイミングが良く、これはこれでルサンチマン映画だなと批判が出来なくもないが、狂った世界の中でそれでも自分を誤魔化し「我慢」していく滑稽さと、何をどうしたところでもう後戻りは出来ない絶望感が滲み出ていてよい。吉田凜音さんがバチコリ可愛いし、話し方がアーニャっぽくて流行りそう。個で生きていくのも地獄だし、個で生きていけないのであれば何処かの統制の取れた混沌へと身を任せねばならない、その地獄こそが社会、家族は偶像、とは言え「常識を疑え!」みたいなメッセージは少々痛々しい。悪くはないけど一般の商業映画だったら絶対スポンサー付かないだろうなと思った。
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