fm

ZAPPAのfmのレビュー・感想・評価

ZAPPA(2020年製作の映画)
3.0
フランク・ザッパである。
私が聴き込んだザッパ作品は『Hot Rats』のみだからファンとは言えない。
他は『Freak Out!』と『Cruising with Ruben & the Jets』を稀に聴くぐらい(どちらもビーチボーイズとの共通性を指摘されるため)。
ザッパのレベルの高さは認めるものの、自分にマッチしないのだ。
個人的に、ジャズロックならマイルス、ファンクならJB、カオスならブーツィ、コーラスならビーチボーイズ、オーケストラならヴァン・ダイク・パークス、ギターならプリンス、というように聴く音楽が概ね決まっているため、「ザッパじゃないとヤダ!」という状況にならない。
ファンク・ディスコ・ラップをよく聴くから、彼が嘆いていたMTVとかサタデー・ナイト・ライブ(ブルース・ブラザーズ)の方が好きである。

ザッパの事前情報として
・練習の鬼
・超多作
・現代音楽からの影響
・大統領選挙出馬を考えていた
・コントロールフリーク
・癌で早逝
・アンチドラッグ
・非商業主義
・ジョン・レノンと共演している

などのトリビアは音楽誌や殊能将之(小説家でザッパの熱心なファン)経由で知っていたから、そのイメージ通りである。
他にザッパについて知っていることは、モンキーズのカルト映画『Head』に出ていることと、若き日のジョン・フルシアンテがザッパのバンドのオーディションを受けたことぐらい。
ザッパがアンチドラッグなのは、セルフコントロールが効かなくなるのが嫌だからなのだろう。

本人が記録魔ゆえ、映像や証言が豊富にあり、この手のドキュメンタリーにしてはかなり精緻である。
しかしまあ『エル・トポ』みたいな奇人ノリを今観るのはキツイ。
毎度ながら、ラップがかからない音楽映画には物足りなさを感じる。

ザッパは生涯ユニーク(唯一)であることを徹底していた。
私はダフト・パンク、ウィークエンド、ブルーノ・マーズのような「類型の極み」みたいな音楽を好んでいるため、音楽にオリジナリティを求めていないのかもしれない。
エンディングまでフル尺で一曲もかからないのはどうかと思うが、鑑賞後はザッパに対して思い入れができるのは間違いない。
本作のおかげで「Watermelon In Easter Hay」を気に入った。
fm

fm