このレビューはネタバレを含みます
正直なところ全く期待せずに見たのだが、ドラマとして手堅くまとまっていて十分に楽しめた。
一番好きなのは年老いたビートたけしが当時のフランス座を回顧するシーン。
フランス座こそ今も名を変え存続しているが、深見や千春、その他のストリッパーや弟子たちと過ごした日常こそ今のたけしを形作った存在であって、その日常はもう二度と戻ってこないというのが切ない。
柳楽優弥の演技は素晴らしい。
松村邦洋から指導を受けたというたけしモノマネ要素は差し置いても、ひょうきんながらどこか恥じらいと影を感じさせる表情、エレベーターボーイからスターダムを駆け上がるにつれて変わっていく所作や振る舞いが上手い。
70年代当時の浅草を模したお金のかかっていそうなセットから、一気に民放ドラマのようなタイトルバックに切り替わるなど、所々で不思議なほど洗練されていない部分がある。
音楽も良く言えば盤石、悪く言えば予定調和で、演出に劇団ひとりらしいキレ味は感じられなかった。