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浅草キッドのd3のレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
4.0
師匠ははじめから師匠だったわけではない。弟子を育てるなかで、師匠らしさを兼ね備えてくる。
師匠としての喜びはどこにあるのか。それは自分を超える弟子が現れたときだろう。何もできない若者が自分の芸を盗むことで怪物に成長していく。「ひょっとすれば、ひょっとする」のは師匠の影響であることは間違いない。嫉妬と喜びが混じり合う。
我々は、かつて存在した師弟という関係性を目の当たりにすることで、それが上司部下とも相棒とも違う不思議な関係であることを発見する。たとえば弟子はライバルでもあり、師匠は笑わせる相手でもあるのだ。
言語化できない関係性が入り乱れる浅草興行界は、たしかに人々を魅了した世界であった。
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