木曳野皐

浅草キッドの木曳野皐のレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
-

この作品のモデルである北野武が【7daysサタデー】でこの作品が話題に上がった時に、安住アナウンサーに「映画観ました?どうでしたか?」って聞かれて、
「観たよ。なんかこう、映画は綺麗になってていいね…映画だからさ、本当はもっとしんどかったんだよ。厳しかった。でも映画ってのは綺麗でいいね。…泣いたけどね。」なんて答えててスタジオが苦笑いになったシーンをその日たまたま観た。

うん、間違いなくこうして素直な感想をテレビでお茶の間に向けて言えるからこそ売れた人物なんだろう。
綺麗な話だった。
千春の「絶対帰ってこないでよ」は世界一愛のある応援だと思った。そしてその配役に門脇麦を持ってきたのも大正解。歌声もいい。
【アンビリーバボー】というビートたけしMCの超有名番組の冒頭でタケがあれやこれやと変装してお茶の間を笑わせるのはあの頃の師匠の姿勢あってこそのものだと思う。今のビートたけしの見方が変わる。

北野武とビートたけし、その二面性が生まれた由縁が分かった気がする。
そして、北野武としてのカッコ良さとビートたけしとしてのお茶目さ。
師匠が言っていた「舞台を降りたらカッコ良くあれ」を未だに重んじているのではないかと思った。
そりゃ映画だし本当に本当に綺麗に描かれているんだと思うけど、だけど“タケ”について知れることは日本人にとってとても嬉しい事なんじゃないかと思った。素敵。

あと柳楽優弥も当たり前に良い。
好きなシーンはラブホのベッド無意味回転から舞台の回り舞台への切り替え、及び連想シーン。
あとハイヒールのボケを歳の重ねたあの日の2人が居酒屋でやるの好き。
正解だったのは、キヨシが現芸人の土屋さんだった事、顔や雰囲気や人気ではなくちゃんと演技力含めの俳優選びだった事。そして監督も劇団ひとりと芸人を起用した事。
ただ劇団ひとりの映画って「あ、コレ劇団ひとりだ」って分かるくらい泣かせに来る(笑)それが良い悪いの話ではなく、劇団ひとりの監督としての個性だと思う。
エンディングのアニメーションも良く、主題歌のサザンオールスターズも年代を感じられて良い。

涙あり!笑いあり!ストリップあり!
人の人生をネトフリで覗けてしまうとは安い!
面白かった💯
木曳野皐

木曳野皐