Omizu

マ・レイニーのブラックボトムのOmizuのレビュー・感想・評価

3.0
アカデミー賞有力とされている本作だけどあまりノレなかった。戯曲が原作ということですごい舞台っぽい。基本的に録音スタジオから動かない会話劇。これなら舞台でみたほうが面白いんじゃ…?としか思わなかった。ぶっちゃけわざわざ映画化した意味が感じられない。

チャドウィック・ボーズマンの遺作ということで確かに彼は熱演しているけど、身の上を語るときの演技も何か感情だけが上っ滑りしているようで押し付けがましいとさえ感じてしまった。

その点ヴィオラ・デイヴィスはさすがの堂々とした貫禄の存在感。彼女のその横柄な振る舞いに隠された性的な抑圧と差別に対する抵抗が自然な演技で体現されていた。

終盤の展開も急すぎてん??ってなった。舞台だったら一人ひとりがそれぞれ象徴的な立場を表していることが効果的なんだろうけど、映画でそれをそのままやられるとわざとらしいだけに感じる。開かないドアとその先にあるものとかメタファーとしても直接的すぎないか。

吃音の甥のくだりはちょっと感動したしマ・レイニーの屈折した存在を体現するヴィオラ・デイヴィスは素晴らしいけどそれ以外はあんまり。撮影はすごくいいと思う。

『フェンス』もそうだけどあまりに舞台っぽいものは僕は好きになれない。
Omizu

Omizu