ムーミーコロコロ

マ・レイニーのブラックボトムのムーミーコロコロのレビュー・感想・評価

3.8
チャドウィック・ボーズマンの遺作となった作品。
恥ずかしながら、彼を知ったのはつい先日のこと。その時にはもうなくなっていたことを知り、悲しくなった。映画の中の彼はかなりやつれていて、撮影が辛かっただろうなと思う。でも、渾身の演技。持てる精神力を全てこの作品にかけたのではないかと思う。本当に惜しい人を亡くした。今さらですけど、ご冥福をお祈りします。

さて、話は難しい。(私にとってですけど…)
当時、黒人差別はかなり厳しく、悪いことは全て黒人のせいにされてたようだ。もちろん、黒人と白人が明らかに分けられている施設も多かっただろうし。そんな中黒人として生きていくためには、白人に媚を売りながら生きるか、傍若無人な振る舞いをして白人の上を生きるか。

マ・レイニイは後者。見ていてわがまますぎると思うところも、彼女にしてみれば生きるすべ。自分に強力な鎧を身にまとう。でも、これも彼女の名声があるからこそのことかもしれない。

レヴィーは、うまく白人に取り入ろうとする。でも、若くて経験がないものだから、結局白人の思うがままに動かされているだけ。ピカピカの靴を履いても、それを輝かすことができず、踏みにじられるだけ。結局レヴィーは白人からも相手にされず、黒人からも疎まれる。
そして、想像していなかった結末。レヴィーはそうするしかなかったのかもしれない。
最後、白人がただ楽譜のとおりに優等生っぽく歌うシーンがかなりの皮肉。