リプリー

ホムンクルスのリプリーのレビュー・感想・評価

ホムンクルス(2021年製作の映画)
3.9
脚本が僕の最も好きな監督の一人、内藤瑛亮。キャストは綾野剛、成田凌、岸井ゆきの。そして監督は清水崇。原作漫画は全く知りませんでしたが、この布陣とオカルトホラー色の強い予告編だけで十分に興味をそそられ、期待値大で見に行ってきました。

言わずもがなだが、俳優陣の演技は最高。清水崇監督の演出も恐怖の村シリーズが嘘のようにキレキレで気味が悪い。
ホムンクルスを通してみる人間のトラウマ描写もフレッシュでかなり良かった。

ただ、人の心の中に抱えている“何か”を映像として描写されても迫力はあるものの心情的には飲み込みづらい。
これは同じく漫画を原作とした「さんかく窓の外側は夜」にも言えたことで、読者の理解のスピードに応じて読み返す事ができる漫画とそうではない映画の違いからくるものだと思う。特にホムンクルスは設定も特殊な上に、観念的だからより分かりづらさが増す。
もう一度言うが映像的にはすごいと思う。しかし、心情的にノレないと観客としては「なんかどうでもいいや」となってしまうなが残念なところで、ラストどれだけ感動っぽいことを描かれても全然胸にこない。あと、原作はどうなってるか知らないが、成田凌の動機があんまりにも安っぽすぎませんかね。ラストに彼が綾野剛にいうセリフ、彼らの演技がいいがゆえにこれは結構なガッカリポイント。
エピローグもあんな感じていいのか…救われてるのか…。

とまあ、このあたりは原作を読んで上方修正するポイントかもしれない。
まもなくNetflixで全国に配信されるらしいですが、このカルト的な魅力を持つ作品、ハマるかどうかはその人次第でしょうが、少なくとも綾野剛、成田凌ファンは見て損はなし。
清水崇を見くびっている人も驚きのある作品なのではないかと思う。少なくとも僕は近年の清水崇作品で一番好きでした。