結婚式の余興でド滑りした6人が二次会に向かうまでの数時間を描いた、もう子供じゃない男たちの友情映画。
男のあの本人たちしかおもしろくない内輪ノリは見ていて痛々しさすら覚えるが、間違いなく僕たちの中にも存在する景色なのだ。
そしてその“青春”を一手に担うある人物。今作はかなり特殊な構造の映画であり、そこに全く理屈はないが、説得力はある。だっているんだから。
ラストの怒涛の展開もたしかに突拍子もないが、あれこそが過去の精算であり、後悔とのけじめなのだ。
あの、観客を置いてけぼりにした瞬間にこそ彼らにしか知り得ない何かがある。
それが答えだの“それ”ってなにかはわからない。でもそれが答えなんです。
ただ、ひとつ問題点をあげるならば、彼らのホモソーシャルノリに対して批判的な視点がほぼないこと。
そもそも余興がだだ滑りしたこと自体が、そういった視点になっているっちゃいるのだが、最終的な展開を考えるとこれだけでは不十分である。
また前田敦子演じる同級生に関しても、どちらかというと彼ら寄りの人間ではあって批判的な支点にはなっていない。
彼らのあのノリっていうのは、第三者から見ればどうやったって寒いし、なんなら迷惑でさえある。
でもそれこそが俺たちの答えだったんだという着地は良いのだが、それには批判的な第三者の視点は必須。なければホモソーシャルノリの押し付けにしかならないのである。それができていたのが『あの頃。』
ここがクリアできていれば傑作だったと思うが、惜しい作品でした。