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時の面影のxyuchanxのレビュー・感想・評価

時の面影(2021年製作の映画)
4.0
”We all fail”

このところついつい軽くて楽しい映画に傾倒しつつあったけど、ひさしぶりにしっとりした良い映画を観れた。

Archeology = 考古学って学問の名前自体がかっこいいよな〜と思って語源調べてみたら、ギリシャ語の”古代の =archaeo(アーキオ)” と ”学問 =logia (ロジア)”でした・・・なるほど、”考える”って字をあてたのが良かったのだな。

原題「The Dig」、1939年、第二次世界大戦前、サフォーク州(オランダの対岸あたり)イプスウィッチの東、サットン・フーでの世紀の大発掘の史実をもとにした物語。

考古学に興味がある未亡人エディスが自分の土地にある墳丘墓らしい丘を、学はないけど地元で頼りにされてる採掘のプロ、ブラウンに依頼する。

たまに現れる”知性が顔ににじみ出てる俳優”キャリー・マリガンと、レイフ・ファインズの主演。助演がリリー・ジェームズとジョニー・フリン。

ブラウンもエディスも”時代に埋没していた才能”であり、”未来の人と祖先を繋げる”考古学に自分たちの存在価値を重ねている。そしてそれを理解している家族たち。ブラウンの奥さんも想定外に賢い女性でしたよね。

”我々も悠久の時の一部だ”

お別れの”宇宙船ごっこ”のシーンもよかった。

せめて発見者の名前だけでもというエディスの意思も無視されている腐った階級社会の闇。こういうカタチでも歴史に彼の名前が残ってよかった。


さて、イギリスがほぼ全土バイキングの支配下にあった時代があることも知ってる日本人は少ないだろうけど、その前にユーラシア大陸から移動してきたアングロ・サクソン、さらに古くは場所にもよるけどケルト人が文化を築いていた場所である歴史の流れを知ってるとさらに楽しめる作品だと思います。ちなみにリリー・ジェームズが演じ、後に考古学者として成功したペギーの甥っ子が書いた小説がもとになってるとのこと。

- このサイトの考察よく纏まってました。
『時の面影 The Dig』感想
https://cinemandrake.com/dig

しかし・・・最近NetflixもAmazonも”シネコンの呪縛”から解放されたように地味ながら深いオリジナル作品を作ってて、かつて単館劇場が果たしていた役割が皮肉にもネット配信に受け継がれつつある気がする。
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