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ライフ・ウィズ・ミュージックのkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『ライフ・ウィズ・ミュージック』
原題 Music
製作年 2021年。上映時間 107分。
映倫区分 G
ステージで素顔を見せない“顔なきポップスター”として世界的注目を集めるシンガーソングライターのSia(シーア)が初メガホンをとり、自身の半生を投影させて描いた音楽ドラマ。
『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソンが主演を務め、SiaのMVでのダンスパフォーマンスで注目されたマディ・ジーグラーが妹ミュージック、『あの夜、マイアミで』のレスリー・オドム・Jr.が隣人エボを演じる。
ミュージックの頭の中に広がるカラフルな世界を表現した幻想的な音楽シーンでは、Siaが書き下ろした楽曲の数々に乗せてキャストがダンスと歌唱を披露。

アルコール依存症のリハビリプログラムを受けながら孤独な日々を送るズーは、祖母の死をきっかけに、疎遠になっていた自閉症の妹ミュージックと暮らすことに。
感受性豊かで周囲の変化に敏感な妹との生活に戸惑うズーに、アパートの隣人エボが優しく手を差し伸べる。
3人での穏やかな日常に居心地の良さを覚え始めたズーは、自身の孤独や弱さに向き合いながら少しずつ変わろうとするが……。

嗚呼、あの頃ペニー・レインに一目惚れした。(ペニー・レインは2000年 映画‧ コメディ/ドラマ『あの頃ペニー・レインと』でケイト・ハドソンが演じたキャラ)
と云うか、ケイト・ハドソンに一目惚れしたが正確かな。
その彼女が今作品では蓮っ葉な坊主頭女子に。
『エイリアン3』のシガニー・ウィーバーの坊主頭よか、小生にはケイト・ハドソンの坊主頭の方が衝撃的やった。
しかし、作中、ケイトハドソンが金髪ウイッグを被ってSiaの曲で踊るシーンは見た目がペニーレインを思い出され、個人的にニッチに感動した。
扠、今作品はってぇと、 
あちこちでは
『ゴールデングローブ賞最優秀作品賞とラジー賞最低作品賞の両方にノミネートされた最初の映画』
なんて紹介されてたり、自閉症の描写が不正確で侮辱的であるため、観客から広く酷評されてたと。
また、余談ばかりだが、歌手のケイティ・ペリーとビヨンセは今作品プロジェクトに参加するよう招待されたそうだな、障害者差別とステレオタイプのテーマだからと断ったそうだと記事で目にしていた。
その事は頭のどっかにあったとは思う。
しかし、実際に観てみたら、Siaの挿入曲や彼女の世界観が垣間見れる可愛らしい作品でした。
確かに、私はこの映画が大きく誤解されていると信じている。 オーティズム(自閉スペクトラム症、自閉スペクトラム症とは、人とのコミュニケーションが苦手・物事に強いこだわりがあるといった特徴をもつ発達障害の1つ。別名: 自閉症、自閉症スペクトラム、自閉症スペクトラム障害
)を持たない女優が、オーティズムを持つキャラを演じるってのは物議を醸す可能性があるんは確かかな。
でも、放浪の天才画家・山下清の障害を描いたドラマに『裸の大将』ってのがありそれを見て育った小生としてはSia初監督作!オリジナル楽曲でカラフルに彩る、新体感ポップ・ミュージック・ムービー作品として素直にアーティスティックに観れた。
そりゃ、ハンデを持つキャラを描く自体、今作品が非常識な言動などについて調子っぱずれぶりや、対応・発言などについて、無神経・とんちんかんやと攻撃的な作品とみなされる危険性をはらんでいる。
今思えば芦屋雁之介はんやドランクドラゴンの塚地演じる山下清画伯は、その目線で観ればかなり危険性をはらんではいる。
でも女優マディ・ジーグラーがこの映画で成し遂げたことを十分に理解するには、オーティズムを持つティーンエイジャーの少女ミュージックという役をキャスティングし、リサーチした労力を理解する必要があるんかなぁと。
まず、オーティズムには非常に完全で多様なスペクトラムがあることを理解する必要がある。
人によって、そして特に性別によって、その見え方は大きく異なる。
この役柄は、広範囲にわたって研究されたんやろなぁと。
もともとは、自閉症の俳優がこの役を演じることを意図してたそうだ。
製作陣は試したそうだが、結局、俳優(たち)に大きな苦痛を与えることになり、自閉症でない人をキャスティングしなければ、長編映画は実現できなかったんやそうです。
マディ・ジーグラーは、今作品で自分自身を表現するのに苦労したスペクトラムの一部を表現し、少しオーバーさは否めないが、善き演技をしたと思います。
だから、彼女がこの役を演じるのは不愉快だ、自閉症とはこういうものではないと酷評を残したくはないかな。
自閉症の見え方や感じ方は、その集団の中で人それぞれ違うし、だからこそスペクトラムなんやし。
それはさておき、今作品はとても芸術的で楽しげに仕上がっていた。
個人的には微笑ましかった。
私はこの映画の世界観が大好きやし、文化、言語、人々のミックスは、まさに大都会じゃ何気ない近所で見られるようなモンやと思う。
愛、喪失感、依存、虐待、成長、家族、健康、癒し、探せばこの映画の中にきっと自身や誰かのあ愛する人たちを見つけることができるんちゃうかな。
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