このレビューはネタバレを含みます
【僕は、だれ?】
34年前の辺見の犯行を模倣した両角、両角の残虐な犯行を模範し自身の作品に描いた山城、そしてその漫画をまた忠実に模範し罪を重ねる両角。
「やさしい男」と「サイコパス」。それらはまるで生まれながらに持った能力かのように思われがちだが、実は人間はいつでもこの立場が180度逆転しうる不安定な生き物なのかもしれない。
人はみな、人生での経験を経て構成されたひとつの「キャラクター」で、"本当の自分"など誰にもわからない。対局にいるように見えた2人も実は表裏一体なのではなかろうか。ラストの2人の対峙シーンで、そんなことを考えた。
そしてfukaseがこれまたハマり役で、狂気じみた薄気味悪い演技で引き込む。作品に深みを持たせる豪華なベテラン陣にも注目だ。
山城の愛する双子に忍び寄る影。辺見か、はたまた一連の事件を「模倣」した新たな"キャラクター"か。不穏な余韻を残す終わり方もまた、とても良い。