【いこかもどろか】
久しぶりにブリリアショートショートシネマを視聴。
観てないのが沢山溜ってる・・・・。
このお話しは、小さな頃からなかなか自分で物事を決めることが出来ずにいたジョンという青年が主人公。今日は何やら絶対に遅れてはいけない約束があるにも関わらず、サマータイムのせいで一時間寝坊すると事から始まる。
家を出るまでもトラブルの連続で七転八倒状態。
何をやってもうまくいかない・・・。
そんな時に限って「ピンポ~ン」と次から次へと訪ねてくる人々。
(はいはい、上手くいかない人のドタバタコメディね・・・)
しかし、何となく漂う違和感。
(なぜ、この主人公はみんなから名前を間違われ続けるんだろう?)
・・・なるほどね。
ラストまで観て意味がわかった。
確かにちょっとフランスっぽいオチだね。
これはもしかすると2回目のほうが面白いかもしれない。
というか、1回目の時は何が起きているのかわかんないままラストまで行ってしまった感じ(笑)
でも、「何だかわけわからんわ~」とはならず、むしろ立て続けにいろんな事が起こりすぎて、伏線なのかどうなのかすらも判別出来ないまま終わっちゃったっていう感じのほうが強い。
結局彼は「Yes」と答えないというゲーム(試練)の中で生きていたっていう事なんだろうね。
ただ、それは優柔不断とはちょっと意味が違う。
『「yes」と言えない事』と『優柔不断』は全く別物だからね。
「Yes」を言わないというのはある意味では信念にも近いものだし、ともすれば頑固ですらある。
逆に「優柔不断」はその場の雰囲気次第で簡単に「Yes」でも「No」でも言える。
だから「Yesと言えない男」≠「決められない男」ではないと感じた。
そして今回の主人公も、ともすると「意図的に」Yes・Noという言葉を避けていたようにも感じた。
それは家を訪ねてくる配達員や隣人、タクシーの運転手との何気ない会話の中でも伺える。
彼の言い回しはある意味ではゲームを楽しむかのようにすら見えた。
そんな彼の自分でも気がついていない内面的なものを一言で言い当てる彼女の存在とは。
「貴方は今日まで日々の選択に不可欠な2つの言葉を見事に避けてきた。凄いわ。見せ掛けで誤魔化して、躊躇って、曖昧な答えを出して・・・」
しかし2人には時が迫っていた。
これまでのゲームとは違い、誤魔化すことも、躊躇うことも、曖昧にすることも許されない「愛の誓い」。
(Yesと言ってもNoと言ってもこのゲームからは脱落よ。でも、Yesと言えばすべては失わない。私の愛を捧げるわ。)
彼は試されていたのだ。今まで曖昧にしながらも過ごしてきた全ての日々に別れを告げ、決断を口にする(責任を持つ)ということを、彼自身に認識させるために。
彼はゲームを降りて愛を取った。
これは短編だしコメディではあるんだけど、2回、3回と見ていくうちに、実はなかなかよく出来たお話だと感じた。
こういう部分って多かれ少なかれみんなあるんじゃないかな・・っていうものを、結構丁寧に落とし込んでいたと思う。個人的には結構好きだな。