まさ

心の傷を癒すということ《劇場版》のまさのレビュー・感想・評価

3.9
精神科医として、阪神大震災の被災者の心を見つめ、寄り添い続けた実在の人物の生涯を描く。彼は、自分が何者かを常に問い続けてきた。在日韓国人として本名を名乗らかなった自分、兄のように社会に役立つことができない自分。そんな葛藤、苦しみを知る彼の眼差しは優しい。震災の悲しみを受け止めきれず、周囲に理解されない形でしか表すことができない子どもたちや、自らの命を守るために助けを求める隣人を見捨ててしまったことへの後悔に苦しむ大人たちを受け止め、静かに関わっていく。「心のケア」というものがそこまで取り上げられなかった当時にあって、何がケアなのかを追い求める姿はとても真摯で尊い。自らの死を前にした、妻子への眼差しの温かさに涙腺がさらに緩む。主人公役の柄本佑は素晴らしかった。彼が演じる役所の幅広さは本当に驚く。今後の彼の作品に期待したい。
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