たくみ

心の傷を癒すということ《劇場版》のたくみのレビュー・感想・評価

4.5
≪劇場版≫って文字が付いてるって事は、これドラマ版もあったんですね。基本的にドラマを見ない上にNHKは見ないのでダブルで知りませんでした。ドラマ版の映画化ってのは基本的にドラマでの知識ありきで展開する事が多いのですが、これは映画単体でも全く問題なかったのでラッキーでしたね。

お話しは3つの大きなテーマを扱いながら進んで行きます。最初は在日外国人問題。次に阪神淡路大震災。3つ目は是非映画館で確かめていただきたいと思いますが、それぞれ自分にも思う所がある出来事だったので、すっかり感情移入させられてしまいました。

在日韓国人問題。自分は反人種差別主義者と言うより、人種で差別する意味すらきちんと理解できません。それを恥じるつもりも改める気もありません。仲良くなった人から「実は在日韓国人だ」と打ち明けられた経験もあります。その時も「あっそう」程度の反応しかできませんでしたが、その人から外国人である不自由を色々教えてもらい、これは中々大変だなとやっと苦労だけ理解した次第。

そして阪神淡路大震災。震災が起こった当時大阪に住んでいた自分は被災こそしなかったものの、あの揺れ自体は体験しました。元々関西は地震が非常に珍しい地域なので、いきなりあんな揺れを食らった人は地震だと理解するまで随分時間がかった人もいた様です。そんな状態で被災地の医師や看護師の苦労は想像もつかないものがあったでしょう。

そしてようやく復興の光が見えだした神戸で安医師が体験する3つ目の出来事。冒頭では主人公の安医師を演じた柄本佑の関西弁が気になって仕方なかった自分も(自分はネイティブ関西弁スピーカーなので)それどころではなくなるくらいどっぷり物語に入り込んでいました。

まさに波乱万丈の人生を駆け抜けた安医師。彼の人生を追体験した様な満足感いっぱいで劇場を後にできました。色んな人に観て欲しい作品です。
たくみ

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