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バズ・ライトイヤーのすずやのレビュー・感想・評価

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)
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これ、毒にも薬にもならぬ感覚なんだよな…マジで、なんで今作った?との気持ちが消せない…面白くなかったわけじゃないし、それぞれのキャラへの愛着もないわけじゃないけど、だからといってこれから自分の心に残り続けるか?というとそんなことはなく多分2日しないうちに消えてくのだろうな…と思う。先行のレビューにあったようにいわゆる平凡さが平凡さとして際立ってしまっているのが悲しい。
コロナ禍以降劇場公開されず配信のみになっている3作品は本当にどれも心に残る素晴らしい作品で、とくに私にとって2人の少年の深い友情と愛情を描いた「あの夏のルカ」は飛びぬけて大きな存在になってる。夢に囚われバーンアウトしてしまう大人を描く「ソウルフルワールド」も、二人の少年の冒険を描く「ルカ」も、少女の大人への成長を描く「私ときどきレッサーパンダ」も、それぞれに”今この作品が作られ存在する意義”みたいなものがあったと感じてたし、それこそがピクサーがこれまで作ってきた作品を傑作たらしめる要素だったんじゃないかと思う。だからこそ、その部分を感じられなかった「バズライトイヤー」は落胆でしかないし、ピクサーが作った作品がこうなったことが少し信じられない気持ちでいる。まあ「トイストーリー4」もそんなとこはあったけれど…
だから、「バズライトイヤー」には与えられて、先述3作品には与えられなかった劇場公開、という事実が、ただただ悲しい。また毎度、「あの夏のルカ」を映画館で見られなかったことが悲しくて悲しくてたまらなくなる。なんでバズなんだよ。
あの「ルカ」を作ったピクサーが、この程度の(もはやクィアベイティングじゃないかってレベルの)同性愛描写しかしなかったことにもちょっと悲しみがあって。むろん、たったあれだけで規制をかけてしまう国の存在があるのは分かっているし、Don't say gay法案に絡むディズニー本社の圧力にも負けずなんとかねじ込んだシーンであることは理解するけれど、「ルカ」でせっかく前に進んだと思ったピクサーが、やっぱりまだまだこの位置にいるんだということを再確認したこと、なかなかつらい。
バズライトイヤーにとっての「今らしさ」って、結局なんだったんだろうなあ…
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