ShinMakita

モーリタニアン 黒塗りの記録のShinMakitaのレビュー・感想・評価

2.0
2005年。アルバカーキの人権派弁護士ナンシー・ホランダーは、モーリタニア人の青年が9.11の関係者とみなされ四年間も米軍に拘束されていることを知り、関心を抱いた。青年の名はモハメドゥ・サラヒ。フランス語も堪能で、ドイツに留学経験もあるインテリだ。アルカイダからの指令で9.11実行犯のリクルートをした容疑がかかっているらしいが、未だ起訴も裁判も行われていない。早速グアンタナモに飛びサラヒと面会したナンシーは、無実を訴える彼の代理人となることを決める。サラヒに手記を書くように勧めつつ、米政府に証拠開示請求をおこない、なぜサラヒが9.11の関係者とされたのか、その根拠を探ろうとするナンシー。しかし政府が提出してきた書類は、ほぼ全てが黒塗りにされたものだった。同じ頃、海兵隊中佐スチュワート・カウチは、軍検察官としてサラヒの起訴を厳命される。9.11で親友を亡くしたカウチは、サラヒの有罪を確実にするためグアンタナモでの尋問記録を取り寄せようとするが、軍上層部からなぜか拒絶されてしまい、なかなか裁判準備が捗らなかった。2007年、ナンシーは地裁に訴えを起こし、サラヒの供述調書を閲覧する許可を得る。そこには、サラヒが詳細に自白し、新たなテロ計画まで告白した旨が書かれていた。サラヒに嘘をつかれていたことに少なからず動揺したナンシーだったが、この供述には実は裏があった。カウチ中佐が何とか入手した、尋問の細部を記した書類…MFRには、驚くべき「尋問」の真実が記されていたのだ。


「モーリタニアン 黒塗りの記録」

以下、ネタバレ語では自由と許しは同じ言葉。


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いわゆる冤罪モノ…それも、9.11に絡んで人権を無視し暴走したアメリカの罪を糾弾する内容でした。予告編からは、ナンシー役ジョディ・フォスターとカウチ中佐役カンバーバッチの一騎打ち展開を予想したけど、そうではありませんでしたね。

旧ソ連やゲシュタポも真っ青の、とんでもない自白の強要=拷問に、暗澹たる気持ちになるのは必至。やれ人権だ差別はダメだと小煩いあのアメリカがこれだもん。まぁ、グアンタナモの酷さについては既にメディアで何度も取り上げられているので本作の衝撃度は高くないけど、記録・記憶として見る価値のある一本。
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