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モーリタニアン 黒塗りの記録のなのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

9.11同時多発テロの首謀者の1人と拘禁されたモーリタニア人のモハメドゥとその弁護士ナンシーのお話。原作未読。

今年1番泣いたかもしれん!!持っていたハンドタオルが冗談抜きでびしょびしょになった😢

実際にあった出来事‥なのでもちろん結末は知っていた。詳しくはないけど、ニュースでこの話を聞いた‥しかし弁護士ナンシーやテリーそして米軍の弁護士であるスチュアートの事は全く知らず。スチュアートは実在するんだ🙄脚色されている部分があるとは思うけど、架空の人物ではなくこんな方が‥そうか‥ただ頭が下がる。

この人達が居なかったら、どうなっていたのか?考えただけでも最悪。マルセイユ‥彼にもナンシーやテリーの様な巡り合わせが有れば‥。いや、そもそも然るべき対応をしていれば、こんな酷いことは起きていないはず。自分達が正義だと信じて疑わない権力、集団心理。

ドラマとしてもすごく引き込まれた、実話を元にした映画はどうしても単調だったり間延びする場面が多いイメージ(確かにリアルとは言えるが。)だけど、このお話はミステリーとしてもしっかり成立していて最後までモバメドゥが何故か本当の事を話さない‥そしてその理由もとても納得のいくものだった。回想シーンも、センス良く理解しやすい。自白させられる場面は意識がぼんやりしているのが、こちらにも伝わってくる。酷い拷問で意識が乖離してしまったんだね😢痛々しいシーンもあるけど、直接の暴力より心理的負荷の方を映像として捉えているのも良かった。彼の心が閉じた瞬間は苦しかった。       

スチュアートの視点もとても重要だったと思う。彼が居たから内部の隠蔽がどういった経緯で行われたかよくわかった。そして本当にすごい決断をした人だ。ナンシーに助言?する辺りもグッとくる(流石に演出だよね?)

弁護士ナンシーのブレない人間性もカッコ良かった。母親に電話をどうしてさせたか語るシーンやテリーとの衝突?など、なかなかのシビアな人とも思ったけど、こうでないと務まらないんだろうな。そんなナンシーの潤んだ瞳は‥私も一緒に泣くしかない。さすがジョディ・フォスター!

裁判のシーンが割とあっさりしているのも良かったと思う、観客はここまででもうかなり神経をすり減らされているだろうし、その次の字幕で更に絶望を味合わされるしね。そこから釈放されるまで7年‥。お母さんも亡くなり‥。踏んで踏んで踏みつける、あぁ‥😔

最後のエンドロールでご本人が登場するけど、なぜこんな穏やかな笑みを浮かべているんだろう?‥裁判のシーンで「赦します」と言うシーン、ドラマとしての言葉かと受け取っていたけど表情を見ていると、本当に赦したのかも知れないと思った。彼はかなりタフな精神がある、それは信仰の影響が強いのだろう。もちろんそれだけでは無いとは思うけど、私には理解し難い信仰という救いがとても不思議で神聖に見えた。

タイトルにもある黒塗りは日本でもお馴染みで、本当にため息が出る。行き着く先を見た様な気がする。

どうしてこんな事が起こった?どうして再び笑う事ができる?信仰とはなんだろう。
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