ペコ

モーリタニアン 黒塗りの記録のペコのレビュー・感想・評価

3.8
アメリカ同時多発テロ事件の首謀者の一人と見なされ、14年間ものあいだ収容所での不当な拘留を強いられた実在のモーリタニア人:モハメドゥ・ウルド・スラヒの手記を基にした実録社会派ドラマ。アルカイダに所属していたという事実だけで犯人扱いされて、アメリカ政府から非道な行為を受け続けたモハメドゥ。9.11の後で、実際にこんな事が起きていたなんて衝撃を受けました。3000人もの命を奪ったテロ行為。誰かに罰を与えなければならない。しかし誰でもいいわけではない。冤罪だろうとも1人の人間を死刑にしようとする政府は恐怖でしかない。拘束され、拷問を受け、嘘の自白をさせられても、自死を選ばずに最後まで希望を捨てなかったモハメドゥは本当に強い人だと感じました。そして彼を守ろうとする弁護士のナンシーと、彼に刑罰を与えようとする政府側のスチュアート中佐。対立する2人が真実に辿り着いたときに出した行動に痺れました。アメリカが真実を隠し、アメリカがこの映画を作ったって考えると複雑な気持ちになります。ハッキリした証拠も無いのに何年も拘束して、裁判に勝ったあとでも拘束する政府…。そんなことが許されていいの?非常にリアルな描写で見応えがある作品でした。
正しいことを証明することはそう簡単なことではない。しかし正しい世界でなければならない。平和な世界でなければならない。ウクライナにも1日も早く平和が訪れますように。
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