デッカード

モーリタニアン 黒塗りの記録のデッカードのレビュー・感想・評価

3.0
9.11首謀者の疑いをかけられたモーリタニア人。
彼の弁護士と軍の検事は互いに裁判の証拠を固めるうちにグアンタナモ収容キャンプの闇にたどり着く。実話。

弁護士のジョディ・フォスターと軍の検事のベネディクト・カンバーバッチがバチバチの法廷バトルを繰り広げる法廷劇かと思って観始めたら完全に裏切られた。
むしろ二人は全く敵対する立場ながらブッシュ政権が積極的に関与したグアンタナモ収容キャンプでの根拠のない拘禁や拷問による自白の強要の事実にたどり着いていく。

この物語で拘束されているのはモーリタニア人だが、二人が立場は違っていても法治国家としてのアメリカを信じていて、政権による超法規的強権の発動がいずれは自国民にも危害が及ぶことを杞憂しているところは興味深く、法とは何か?最終的には誰を守るものなのか?を問いかける。

9.11テロをリアルタイムでテレビで見つめショックを受けた一人の人間としてテロを許すことは絶対にできないし首謀者は裁かれるべきだと思うが、その後のテロとの戦いによる自国民の悲劇やグアンタナモ収容キャンプでの非人道的な行為に積極的に関与した当時の大統領をはじめとした米政府関係者への不信感も拭い去ることはできない。

ジョディ・フォスターとベネディクト・カンバーバッチが真逆の立場ながらときに交流し、法治国家のあるべき正義を求める姿を力強く演じているのが印象的。
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