Blue

モーリタニアン 黒塗りの記録のBlueのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

現実に起こった事だとは信じられない壮絶な内容の映画だった。

スラヒさんに対して行われた拷問の数々の描写は見るだけでも痛ましいもので、疑わしいというだけでよくもここまで残虐な行いができるのだなと思った。

無実の罪でアメリカという国家から人間としてのあらゆる尊厳を剥奪されたのにも関らず、裁判では彼らを「許す」と宣言し、それは自分の信じる神の望みだからだと言い放ったスラヒさんはとても高潔な存在に映った。

彼が勝訴した後もアメリカは彼を拘束し続けたという事実は許し難いことだと感じたが、釈放された後の実際のスラヒさんの映像で、彼が今は明るく幸せな人生を送っていることが分かったのはこの映画の中の数少ない救いだった。

また、アメリカ側にもカウチ中佐のように憎しみに囚われずに行動できる人間がいたのも良かった。彼の立場に囚われない信念強さを演じたベネディクト・カンバーバッチの演技も素晴らしかった。

あらゆる分断が世界中に見られる現実を生きる自分としても、彼らのように正しく寛容に生きていきたいと思った。
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