サンヨンイチ

マークスマンのサンヨンイチのレビュー・感想・評価

マークスマン(2021年製作の映画)
3.4
リーアム・ニーソン主演ともなれば
そこにはいつでも既視感がついて回る。
どんな世界線だって
リーアムは大事な何かを失っていたり、
失いそうになったり。
その度に正義の拳を振りかざしたり。
リーアム・ニーソンのネームバリューが強すぎて
ほとんど役名は入ってこない。

そんな業を背負っても尚、
100分強の作品を楽しめるクオリティに仕上げてくるもんだから
私たちのリーアム万歳。



本作では
彼が元来持つ肉体の屈強さに老いが加わり、
まさに元海兵隊と言わんばかりの曲者のビジュアル。
更には薄汚れた身なりと
愛犬のコンビネーションによる哀愁漂うオーラが
作品全体のシックな色調を醸し出している。

荒んだ人生に疲れ果て、平穏に暮らしたいだけなのに
何かと事件に巻き込まれる宿命を背負うのが彼そのものであるが、
今回はアクションはかなり控えめ。
極めて穏やかなカーチェイスではあるものの
徐々に麻薬カルテルの方にツキが回っていき、
追い詰めていくその距離感がもどかしく、そしてそそられる。

パワーバランスの調整役として
グミキッズが加わり、
ついに合間見える十字路以降から一気に物語が佳境に差し掛かる。
本来は足枷となるグミキッズと戦略的に戦うバディ的要素や
ラストの決着を決定づける心理的な揺れの描きかたなど、
ここぞという場面のスリルは十分に満足できた。