リーアム・ニーソン主演ともなれば
そこにはいつでも既視感がついて回る。
どんな世界線だって
リーアムは大事な何かを失っていたり、
失いそうになったり。
その度に正義の拳を振りかざしたり。
リーアム・ニーソンのネームバリューが強すぎて
ほとんど役名は入ってこない。
そんな業を背負っても尚、
100分強の作品を楽しめるクオリティに仕上げてくるもんだから
私たちのリーアム万歳。
本作では
彼が元来持つ肉体の屈強さに老いが加わり、
まさに元海兵隊と言わんばかりの曲者のビジュアル。
更には薄汚れた身なりと
愛犬のコンビネーションによる哀愁漂うオーラが
作品全体のシックな色調を醸し出している。
荒んだ人生に疲れ果て、平穏に暮らしたいだけなのに
何かと事件に巻き込まれる宿命を背負うのが彼そのものであるが、
今回はアクションはかなり控えめ。
極めて穏やかなカーチェイスではあるものの
徐々に麻薬カルテルの方にツキが回っていき、
追い詰めていくその距離感がもどかしく、そしてそそられる。
パワーバランスの調整役として
グミキッズが加わり、
ついに合間見える十字路以降から一気に物語が佳境に差し掛かる。
本来は足枷となるグミキッズと戦略的に戦うバディ的要素や
ラストの決着を決定づける心理的な揺れの描きかたなど、
ここぞという場面のスリルは十分に満足できた。