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竜とそばかすの姫のsakonのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

音楽凄っ!
映画館で観て正解だったなぁ〜めちゃくちゃ面白かった。

ただ、他の人の感想読んで「凄い」と「面白い」は違う、てのは分かった。

私的には総じて面白いと感じたからそれで良し( *˙ω˙*)و グッ!





【ネタバレ】
一般的な「ボーイミーツガール」や「幼なじみとの恋仲」を想像・期待して映画を観ると若干の肩透かしに会うかも。

竜との出会いや幼なじみとの恋はあるのだけど、成就したり恋仲に進展することはない。

全編通してのテーマはそういった色恋ではなく『(本質的に)見ず知らずの人を助けられるか?』になるかな。

物語冒頭でお母さんが川の事故で亡くなってしまった際に「どうしてお母さんは見ず知らずの子を助けるために死んでしまったのか?」もっと言うと「自分(娘)と生きる将来よりも見ず知らずの子を選んだのか?」という大きな疑問が提示される。

これは例えば現実でも見ず知らずの子供を庇って交通事故で亡くなってしまった方がいた時に、遺された家族が感じる気持ちだと想像できる。

お母さんが亡くなったショックももちろんだが「最愛の人に選ばれなかったこんな自分」という引け目が主人公にはある。思春期特有(?)の容姿に関するコンプレックスも相まって、所謂「暗めコ」になってしまった。
これは一般的に言えば世の中の多数派だろう。
「こんな自分大好き!」と思う人よりも「こんな自分なんて。。」と思ってる人の方がきっと多いはずだ。

そんな主人公が仮想現実Uの中では「生まれ変わる」ことができる。
これは物語の最序盤と最後の締めで使われている言葉。
仮想現実Uは現実に置き換えればスマホゲー・SNSだろうか。

世の中の大多数を占めるであろう「普通(暗め)のコ」を主人公とし、幅広い層の人気を獲得出来そうな作品だが、いかんせん今までの細田監督作品や世の中に溢れる「勧善懲悪」「恋模様」の作品に慣れすぎた人がテーマを掴みきれず、作品として微妙、と思ってしまっても仕方ない。

結果として、巨悪を討ち滅ぼしたり、一世一代の恋が実ったり、する訳ではない。
扱うのは児童虐待・ネグレクト。そしてそれは物語上で綺麗に解決した訳ではない。というより児童虐待・ネグレクトには明確なゴールがない。親と引き離せば終わりか、お金の支援をすれば終わりか、逢いに行けば終わりか、何をすれば終わりか分からない、映画でコレを扱うのは非常に難しい、スッキリ完結してもらった方が世の中の大多数は理解できる。
細田監督のチャレンジ精神は素晴らしいし現代社会の問題を切り取ってもいる。ただ映画としては評価されづらいだろうな。

結局「よく分からないけど、音楽と映像は凄かった。」と言われてしまうだろう。

テーマをきっちり理解していれば、終盤で主人公がアンベイル(アンベールかな?)された後、歌うシーンにて歌ってる途中でお母さんの最後がフラッシュバックしてるシーンで感涙必至だ。

あのシーンは、絶大な人気を手放す=事実上仮想現実Uの中でベルの死、を覚悟の上で「見ず知らずの人(U上で竜とは面識があるが竜のオリジン現実の子供とは面識がないため)を助けたい。」という気持ちで歌っている。
それはお母さんが最後に川の事故で子供を助けた時ときっと同じ心境だろう。

音楽・映像の素晴らしさもあってあのシーンは泣ける。


と、マイナスの感想が多かったのでちょっと反抗してみました。笑
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