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竜とそばかすの姫のふとんのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.4
「U」というインターネット界でありもう1つの現実でもある世界。現実はやり直せないが、ここでなら違う生き方ができる。
過去から抱えた疑問のせいで、自分に自身もなく他人との距離をあけがちな少女と、「U」内で格闘スタイルが逸脱して評判が良くなく叩かれて孤独な、傷を負っている竜。少女はそんな誰からも救われない竜にどこかひかれ…

映像や楽曲がまず綺麗。色々考えずに見惚れちゃいます。強気な曲や吐露するような曲、大きな意味での愛の曲、つい観終わってから調べたくなります。

物語は複雑ではありません。ですが情報量や説明が不足しているところがあるようで、つっこみどころはなくはないです。

考察系や観客に投げる形が流行っている中、どこか感じるネットの怖さを煽るだけでなく、きちんと細田監督なりの答えを伝えてくれる感じが良いです。
また、美女と野獣を模したようで新しい要素もいれているのが新鮮でした。孤独な野獣と、別の孤独を抱えた少女が、現代ならではの孤独という要素でオマージュされていました。「愛」が「恋愛」としてでなく、「救い」というより現代チックだったのが印象的です。また一連の話はスケールが大きいようで小さく、きっと大きな世界での一部であるに過ぎないと考えると、自然と現実世界と「U」が対照的に感じられました。予告とかでみた「秘密」の意味が膨らみました。

全てが論理的に理由付けされているわけではないけれど、観るとどこか前向きな気持ちや晴れた気持ちになるような映画です。きっとつっこみどころをみつけちゃいつつ、ふとした時にまたみたくなるのってこういう映画かなと思いました。なんだかディズニーのような感じです。

鑑賞してその世界の余韻に浸りたい方はぜひ!
考察したり、自分なりの答えを見つけたい人は若干微妙な印象かもしれません。
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