すみ

竜とそばかすの姫のすみのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

事前情報でかなり期待して見たのもあってか、がっかりした。
細田守作品の中で一番苦手かもしれない。

映像と音楽はものすごく綺麗だけど、肝心なストーリーは入り込めなかったと言うのが正直な感想。
過去のトラウマを乗り越える勇気、親とのわだかまり、DV、偽善、間違った正義、ネットの誹謗中傷などの怖さ、いろんな要素があったと思うし、いろんな展開や伝えたい要素が絡んでいるのに、すべてが掘り下げられないままとっ散らかっているなーと感じてしまった。
すずや竜の心の変化や描写がわかりづらく、もう少し丁寧に描いてほしかったというのもある。

特に、話のキーポイントである竜の正体が接点の全くない子供という設定は悪い意味で驚いた。同じように接点がない子供を助けたお母さんとすずをリンクさせていると思うけど、つながる伏線もないし、突然すぎてしばらくついていけなかった。

終盤の一人で夜行バスで向かう展開や(周りの大人、すず一人で行かせるのダメじゃない?竜になにかあったら、って向かってるけど、高知から夜行バスで向かって間に合う?)都合よく竜の家が見つかる展開(膨大な家の中で見つけられるのすごいな)DVの父親がすずの気迫に怯えて逃げる展開(そんなことしたらすずがいなくなった後二人は当てつけでもっと酷い目にあうんじゃ?)、竜の最後の「僕も戦うよ」のセリフ(どうやって?なにに?一人で戦っちゃダメだよ)はツッコミどころも多く、リアルなことを考えてしまって受け入れがたかった。

物語なので多少のご都合主義展開があることはもちろん構わないのだけど、
本作は、ネット上での心ない中傷・スターの正体が平凡な女子高生という設定・DVの父親といった現実的な要素と、上記のような非現実的な展開がうまく噛み合わなくて違和感を感じてしまったのだと思う。

違和感を感じると作品に入り込めなくなるタイプの人は向かない気もするが、それ以上に映像と音楽と歌は本当に素晴らしかったので、映画館で見れて良かったと思う。
雰囲気を感じるという意味ではものすごく素敵な作品だと思う。
すみ

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