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竜とそばかすの姫のUSAのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
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淡々と流れるシステムナレーションは、あくまで仮想世界を肯定的に説明する。
けれど、実際にそこに生きる有象無象の言動などは全く美化されていない。
細田監督は仮想現実を描く第一人者であるものの、実際はこれから来る仮想現実社会に対して、避けることのできない新しいディストピアのような感覚を持っているように個人的には感じた。

その中で、仮想現実の中だからこそ生まれる才能や可能性みたいなものは、一つの希望として捉えているように見えた。

ネット社会になり、不特定多数に才能や感動を届けられる時代になりつつ、本当に伝えたい気持ちを本当に伝えたい人に届けるにはフィジカルな距離感でぶつからなければいけないという終わり方。すごく説教臭く感じるが、そのうち本当にフィジカルな距離感でのコミュニケーションの価値が忘れられてしまう時代が来るのかもしれない。

不特定多数の素性もわからないアバターに素顔を晒すという勇気が感動的に感じられるのも今の時代だからかもしれない。
ラストのライブシーンは何度でも見たい。

楽しむことはできたが、美女と野獣みたいなシーンは本家同様中身が薄くみえるし、竜は単なるネットの荒らしみたいなやつなのに、全世界がその素顔を夢中で追いかけているなど、設定がきつい部分もあった。
壮大な映像の映画なのに起きている問題がミニマムで勿体無いなと感じた。
(サマーウォーズは、世界を揺るがすAIの暴走をただの田舎の大家族が止めるというギャップがすごいカッコよかった)
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