つかだめぐみ

竜とそばかすの姫のつかだめぐみのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
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見せたい景色がたくさんあるんだろうな。
言いたいこともたくさんあるんだろうな。

そう思えるほど、キレイな景色やシーンが瞬きの速度くらいでコロコロと変わっていくし、伝えたいテーマや言葉たちが土砂降りの雨のように理不尽な怒りとなって降ってくる。
私がこの映画を同じような物語とテーマでやるなら5部作くらいに分けると思う。
それくらい色々詰め込みすぎてる。私は言葉と絵の海に溺れて、息ができなくなりそうだった。
セリフ劇もリアルじゃない。パズルのピースが全く合ってないのに、勝手な大人の都合で合ってることにされて、進めさせられて、完成してるように見せかけてる偽物の会話たちに怒りさえも覚えた。
「綺麗事みたいなエモーショナルなセリフ、こんな簡単に日常会話で使わないよ」「この子そんなこと言わないよ、もっと優しいキャラなんじゃないの?」全部の会話にツッコミ要素があって、途中からツッコミに疲れて、思考が停止しそうだった。

音楽はすごくいいし、
サマーウォーズと近い世界観もキャラクターデザインも好き。
映像表現や構図や演出は、さすがスタジオ地図だと思う。デジタルチックな描き方も、心がボロボロな人間の弱さも、ちゃんと絵として美しく儚く描いていて、キレイだなあと思う場面ばかりだった。
テーマ性も時代に合ってて、やりたかったことも伝えたかったことも私はわかるけど、色々散らかりすぎてて、ほとんどの人には伝わらないんじゃないのかな。
伝えたいことがたくさんあるという熱量が見える映画なのに、伝わらなかったら、もったいないよ。