りょう

1秒先の彼女のりょうのレビュー・感想・評価

1秒先の彼女(2020年製作の映画)
3.2
 チェン・ユーシュン監督は1990年代にも活躍していたようですが、その頃の台湾映画といえば、エドワード・ヤン監督の「カップルズ」と1989年の「悲情城市」しか観たことがありませんでした。なので、この作品は最近の若い監督のポップな演出なんだろうと思って観ていました。
 周囲よりテンポの早い女の子と遅い男の子の出会いと再会から発展する不思議な現象という発想は、とても面白いと思いました。失われた1日の謎を描く展開は前半も後半もうまいと思います。かなり大雑把でしたが、意外な人物から説明される不思議な現象の理由もそれなりに納得できるものでした。
 ただ、少し先入観があるのか、こういうアジアのコメディは安っぽく観えてしまいます。物語そのものがファンタジックで、さらにシュールな演出も加味されているので、個人的にはやり過ぎている感覚が好きになれませんでした。あまり重要な意味のないようなシーンを妙に丁寧に描くところがあったりして、物語の主軸を後半までつかみづらかったことも原因かもしれません。
 エンドロールのキャストとスタッフの名前は、本人の直筆なのでしょうか? ちょっと洒落ていてよかったです。最近の台湾映画はかなり評判がいいようなので、この他にも注目しておきたいです(2019年の「返校 言葉が消えた日」はなかなかのクオリティでした)。
りょう

りょう