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1秒先の彼女のcalinkolincaのレビュー・感想・評価

1秒先の彼女(2020年製作の映画)
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今日は台湾の映画「1秒先の彼女」を。

一秒先を行く彼女と一秒遅い彼のドタバタコメディかと思ったら、「時間」に対する哲学的な視線も入ったラブファンタジーだった。

時間にも利息があって、24時間が余る人もいれば24時間が足りなくなる人もいる、という発想がまずすごく面白い。
一秒先を行く彼女と一秒遅い彼が時間のない世界で出会い、失踪し時間を失った彼女の父親はただひとり(ふたりか...)、時間のない世界をさまよう。

設定だけでなく、2回見ると更に面白くなる細かな伏線の張り方、ジーンとくるエピソードも秀逸で、一秒先を行く彼女と一秒遅い彼が再び動き出した時間の中で再会するシーンでは涙を禁じ得なかった。

物語にあふれる「必ずあなたを愛してくれるひとはこの世界にいる。だから自分を愛そう。」というメッセージも素敵で、それはこの世界に、数多いる「他人に合わせられないひと」彼、彼女らの持った個性へのあたたかなエールのようにも感じた。

ラストシーンの目をつむったふたりのポートレイト。これがこんなにも愛に溢れたものに映るとは。

コミカルとせつないの間を行き来する劇伴も良かったな。
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