なんのためにわざわざ伝記映画を作ったんだろう。焦点が絞られていない脚本・演出。歌唱はホイットニー本人のものに吹き替え。そんな腰の引けたことしかできないというのに。。
ドラマ性や感動という観点においても、2018年のドキュメンタリーのほうが断然良い。
映画としての中心にあるものがない。ホイットニー個人の内面へのフォーカスが足りない。感情移入させない類のエンタメもあるけど、この作品はそうじゃないでしょう?
「ボヘミアン・ラプソディ」には溜めに溜めてのクライマックスがあったし、アレサ・フランクリン「リスペクト」には彼女の抑圧的状況と歌による解放(カタルシス)があった。
伝記映画として、みんなが見たいところを余すところなく入れ時系列にも倣ったがゆえ、いろんなところをつまみ食いしている感がある。感情の流れに沿って作られていないというか、起こる出来事が点でしかなく線としてつながっていない感がある。演出の方向性にメリハリがなく、画面に映っているのが良いシーンなのか悪いシーンなのかが判然としないところがある。
子どもと別れたと思ったらすぐに再会しちゃったり、ある若者からサイン要求されるところだけ妙に思わせぶりなトーン(ほかの演出は基本的にド直球なのに、ここだけやけに間接的に麻薬中毒であることを示している)になっちゃってたり、色々なところがチグハグ。
演者の顔が老けないのも。。
ボディーガード撮影中のクライヴ・デイヴィスのセリフとか、笑わせたいのだろうか…?
ライブ中の観客の顔を映すのって冷めない…?