xoさんの映画レビュー・感想・評価

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さらば冬のかもめ(1973年製作の映画)

3.5

本作がアレクサンダー・ペイン「ホールドオーバーズ」の着想源であることをきっかけに鑑賞。
筋書きとしては重なるところが多い。
あらかじめ"終わり"が決まっているロードムービー。旅の過程、メンターである年
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砂の器(1974年製作の映画)

3.5

とてもパワフルな映画。ミステリーに始まり人間ドラマに帰結。エンタメでありながら社会への問題提起やメッセージが際立つ重厚な作品。見終えた後の満足感、充足感はけっこうなもの。突っ込みどころはあるものの、長>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.5

「こんなのどうやって撮ったの?」と思わずにいられないところ多数。
とにかく演者、スタッフら作り手のガッツと苦労に頭が下がる。見ている間つねに画面に映っているものだけじゃなく、映っていないことに思いが至
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.8

「バービー」「レディバード」然り、グレタ・ガーウィグは色んなイシューを詰め込みつつ、物語を簡潔に整理して届けるのがすごくうまいんだなと思った。
本作には四姉妹分の時制の違う物語があって、ダイジェスト的
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Love Letter(1995年製作の映画)

3.0

全体的に荒削りではあるものの、それも含めて可愛らしい作品。
のちの岩井俊二に通ずる、感傷的な感じよりはどちらかというと明るい印象。切ないというより、さわやかでカラッとした感触。
作劇のタッチは軽め。「
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蝿の王(1990年製作の映画)

3.8

なかなかすごいものを見た。容赦のない作品。近作だと「ニューオーダー」を想起。
最初はまだ牧歌的にも思えた状況が悪化し、歯止めがきかないままエスカレートしていく。絶望が増していく感覚を味わえる。

子ど
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

3.8

神経症ホラー。通俗的な作りではないものの、エンタメとしてしっかり面白い。物語の強度が高い。序盤からがっちり心を掴まれ、ジェットコースターにのせられたまま進んでいく感じ。

鑑賞中、中心にあるのは不安と
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お葬式(1984年製作の映画)

2.5

「あるあるネタ」映画。日常生活の細部に焦点を当て、社会的慣習や規範とのズレや違和感によって共感を抱かせる作りはいまの日本のお笑い、コント番組の延長線上にあると思う。

40年前にして、葬式やそこでの振
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.5

ふだんあまり泣かない方だけど、ラストは嗚咽するほど号泣してしまった。とても小さな映画だし、淡々としていながらも、表現される情感は普遍的で強度がある。映画の感動に、ドラマの大小なんて関係ないんだなと実感>>続きを読む

フェラーリ(2023年製作の映画)

2.3

強さに取り憑かれた男を描いた作品。富と権力をもった男が傲慢さゆえ転落していく。背景には孤独や喪失感。昨今ありがちというか、いわば”神話解体”系の話。昨年の「ナポレオン」とも重なるところがある。
主人公
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ルックバック(2024年製作の映画)

2.8

絵面的にはかなり原作に忠実な映像化。コマ単位での再現を試みているところも散見される。
144ページを58分間にするにあたっての基本的なスタンスは”補完”。オリジナルな作為を加えず、原作にもあった描写の
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.5

唯一無二、問答無用のエネルギーを突きつけてくる作品。瞬きをするのも惜しいくらいのアクション。高速テンポ、カット割りによる怒涛の展開。
アクションにちゃんと意味が込められていて、それが高速で進むものだか
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ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

2.0

基本はブラックコメディ調。作劇のトーン、アイロニカルな視点、教条的なメッセージという意味では「チャンス」に近い。

とにかく老婆がエキセントリック。彼女のエネルギーが少年を引っ張り突き動かしていく。行
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

2.8

「ホールドオーバーズ」と比べると、本作の方が作劇が淡々としていて、ムードはカラッとしていて、より滋味深さが感じられる。
表現される感情の起伏は弱いし、しみじみ思い入るような感じ。

ノスタルジー、過去
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トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

3.3

2024年に見ても、作品がもつメッセージの強度は劣化していない。
人間の普遍的な性質が描かれているからだと思う。見せ物、搾取するメディア、享受する消費者。リアリティショーに限らず、いろんな構造に当ては
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(2005年製作の映画)

3.7

吉田恵輔監督が一番好きな作品だそう。それも納得、共通するものを大いに感じた。

人間のダメさ、だらしなさ、ちっぽけさを、悲哀を込めて温かく肯定するような視点がある。嫉妬心や拗らせた承認欲求の暴走という
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.0

ほろ苦い人生を、ユーモアとほのかな希望で称える作品。小さな物語や人間模様のなかにいろんな感情、豊かな味わいがある。10年前でも10年後でも変わらず通用するであろう普遍的な傑作。

人種も年齢も立場も違
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チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

3.7

すごくパワフルな映画だと思った。ほとばしる感情、抑えきれぬ衝動、躍動する肉体。理屈や倫理を超えたところにある人間の野性のエネルギーを称える作品。

物語はシンプルながら、それを奇妙な作品に仕上げる工夫
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.5

1時間以上もの間、物語にこれといった起伏はない。中盤まではあくまでも子ども向けの作り。「サザエさん」とかとも通ずるような牧歌性、一線を越えない"ほのぼの"な感じ。
でも後半になって、前半はすべて”フリ
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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

2.5

不思議な映画体験。こんな映画は見たことないし、ほかの誰にも作れない作品。
冒頭からのメタ構造に興奮させられる。どうやら、監督自身が母国イランで映画撮影を禁じられているらしい。本作はそんな自らの状況を逆
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

3.5

純真無垢、文字通りの世間知らずな主人公バビー、その流浪の旅を追った作品。
彼の突飛な振る舞いと、対峙する世界の残酷さが描かれる。

傷つけられ、搾取されることの連続。でも見ていてそこまで辛くないのは、
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

デヴィッド・フィンチャーらしい美学が貫かれた作品。洗練されたエンタメ。主人公さながらストイックに、無駄な贅肉を落としたあとにある美しさが魅力的。

他作でもそうだけど、計算された繊細な演出や描写による
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

3.3

密室劇のお手本のような作品。劇的、スリリングな展開が用意されているわけじゃないのに引き込まれる。
緩急の付け方がうまい。本筋とは直接関係のない、休憩中の何気ない会話だったり、人柄が見える言動だったりが
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ウィッカーマン(1973年製作の映画)

2.3

行方不明の少女を追って島にやってきた主人公を通して、住民たちの奇妙な様子が活写されている。ドキュメンタリーのようなアプローチを交えつつ、異教的な儀式や風習、生活習慣が詳細に描写されていて、リアリティを>>続きを読む

ドニー・ダーコ(2001年製作の映画)

3.3

これが「難解」扱いされるのがよくわからない。一度ですべてを理解しようと、答えを見つけようとするからでしかないと思う。スムーズに見させてくれないってだけで、作品自体の手触りは易しいし、物語も作劇もわかり>>続きを読む

ローラ殺人事件(1944年製作の映画)

3.5

どんなだったか忘れてしまったものの、見た記録として。。
フィルム・ノワールの古典のうちのひとつ。よくできた1時間半のミステリー、ファムファタール。美しく謎めいた女性を中心に振り回される男たち。テンポ良
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悪魔の追跡(1975年製作の映画)

3.8

軽い気持ちで見始めたら思いがけず引き込まれる、面白い作品だった。いわゆる「ホラー映画」らしくはないし、「B級」とも思わない。インディ作品らしい風合いではあるものの、チープさが前に出てもいないし、"可愛>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.5

映画のさまざまな面白さに満ちた傑作。細部までデザインされた音や画面、複雑で深みある人物造形、普遍的なテーマ、共感できるヒューマンドラマ、緊張感あるサスペンス、劇的な展開。数々のメタファー、重層的・多様>>続きを読む

ザ・レイド(2011年製作の映画)

3.8

アクションを見せることに特化した作りながら、人間ドラマにはしっかり強度があるし、各所でのスリルの高め方がお見事。どこかで見たような、クリシェ的表現に頼らず、オリジナルな工夫が見られる描写が多い。それゆ>>続きを読む

未来の想い出 Last Christmas(1992年製作の映画)

3.3

奇妙な作りの作品ではあるものの、最終的には普遍的にグッとくるメッセージとともに、爽快感・満足感をもって見終えられてしまう。終盤には森田監督にしては異例なスペクタクル展開も。

必要性をさして感じられな
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.0

特に映画好きじゃない人になにか一作勧めるとしたら最適な作品だと思う。笑えて泣ける秀作。間口は広く、終盤にいくほど深みがある。

作品中心にあるのは物語というより、二人の付かず離れずな関係性の醸し出す空
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セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

2.5

思っていたよりもアダルトショップは関係ない。悩める少女が葛藤しつつも内的に成長する話、ではあるのだが、あらすじやアートワークのイメージからするとずっと地味。ポップさはない。
主人公少女と風変わりな大人
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.3

ヴィルヌーヴ特有の美学が全編に通底していて、冒頭数分から、静的ながら緊張感あふれる画作りに引き込まれる。

アートとエンタメのバランスがとても巧み。視覚、音響的な快楽、きっちり面白い物語、複雑でもあり
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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

1.4

こりゃ大人が見るものじゃないなと思った。。リブート3部作をSFアドベンチャー調で再構成したような内容。猿が主役で人間を相対化して描くというアイディア、対立と融和、権力と腐敗といったテーマ、届けられる教>>続きを読む

No.10(2021年製作の映画)

2.0

どこかにとどまったり予想の範囲に収まろうとせず、物語は常に動き続けているため退屈はしない。ここからどう展開していくんだろう?、これはなんだろう?、がひたすら続く。

ただ実際のところ、見終えた後に手に
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

2.5

ブロックバスター大作として文句なし。日頃観に行っているタイプの映画ではまず見かけない、子どもたちが楽しそうにしていたのが見れたのが良かった。

VFXを最大限使い、怪獣たちをいかに迫力あるよう見せるか
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