Junpei

MONSOON/モンスーンのJunpeiのレビュー・感想・評価

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)
5.0
冒頭30秒だけでも観る価値のある作品。ベトナムを舞台に、そこでしか描けないテーマ、風景を描いていた。何より映像表現、風景描写が好み過ぎた。旅行、観光映画とも言えるが、それはまるで主人公の視点を追体験してるかの様だった。日本版ポスターでは同性愛的な描写が省かれ炎上したが、やはりこの作品にそのセンテンスは欠かせない。アメリカ人とベトナム人、ベトナム戦争、このテーマは彼らだからこそ描けた内容だろう。彼らの会話で「戦後」という単語に衝撃を受けた。私達は「戦後」というと1945年以後を思い浮かべるが、他の国にとってそれは違い、人によってそれは違うのかもしれない。所謂「説明し過ぎない」点も良い。彼らの境遇も良い塩梅で説明していない。キットの兄が出てくるシーンもどちらが「兄」なのか分からない。通話シーンもキットのゴエだけであり、それは観るものの想像に委ねられ、断片性を感じた。それでいて映像表現では、登場人物の周り以上が描かれ、世界の連続性をも感じた。劇伴という劇伴が全く無く、それは逆にベトナムの原音響、風景の音を引き立てている。それでいて最後のポストロック的な音楽がとても印象的で効果的で映画そのものを語っている。何から何まで凄い作品だった。
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