ヴぇる

スチームボーイ STEAMBOYのヴぇるのレビュー・感想・評価

スチームボーイ STEAMBOY(2003年製作の映画)
3.4
巨匠大友克洋監督の作品であり、イギリスの街並みを美しく描いておりある種のディズニーに似た雰囲気になっている。
日本の力を結集したと言っても過言では無いほどの豪華な作りになっているため制作費24億が費やされたが、半分も回収出来なかった。非常に惜しい作品だ。

大友克洋の作品によくあるCGとアニメーションの融合が素晴らしく、違和感は全くなく30分でこの作品の雰囲気にどっぷりつかれることが出来る。
戦闘シーンは美しさを破壊するカタルシスが素晴らしく、欠点はない。今作のハイライトと言える出来だ。
城が動き出してからのシーンも邦画アニメの中では最たる出来に思える。迫力があり、凄みを感じる。

ただ、主演の鈴木杏の演技は微妙でしかなく、感情を表現する声が下手くそで若干情緒が安定しないように感じてしまう。父や祖父にも同じ事が言えるし
その他にも俳優が声を当てているが何人かは違和感がありどこか上滑りしていく。
逆に小西真奈美は上手いので難しい所か。

またレイの行動原理の説明がほぼほぼ省かれているため感情移入は難しいどころかイライラしてしまう点もありマイナスだ。
加えてヒロイン役のスカーレットも必要な役かと言われればそうでもなく双方共に居なくても物語が成立しそうな程だ。


総評としては、本当にクオリティが高く、邦画の中ではトップに位置できる程の映像美とBGMそしてCGだ。
しかし脚本とキャラクターが浅い。ここさえ上手く行けばAKIRAを超えてジャパニメーションのトップに立てただろうに勿体ないという気持ちになる作品だ。
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