ソラアユム

コンフィデンスマンJP 英雄編のソラアユムのレビュー・感想・評価

3.7
『騙されると思ったら騙されなかった…つまり、俺は騙されたんだ!』
 

2022年9本目(劇場鑑賞3本目)
3人の信用詐欺師の活躍を描いたドラマの劇場版三作目

【総評】
 前作『プリンセス編』と比べると、ストーリーとテーマの親和性や登場キャラクターの魅力は劣る。また、ドラマ劇場版3作と続き、騙しの手段がマンネリ化しつつあるのも否めない。ただ、安定のコンゲーム×コメディドラマで、ファンなら楽しめる内容ではあった。

【良】
 主人公3人の掛け合いは安定感抜群で見ていて楽しい。赤星(江口洋介)の銭形刑事的なツンデレキャラはシリーズが進むごとに、どんどん露骨になっているのが笑えた。最高。新キャスト陣では、生田絵梨花の演技が光っていたと思う。流石ミュージカル経験者ということもあって、声の張り方や声色使いなど、全キャストの中でも頭一つ抜けていたのでは。

【悪】
 トリックに関しては、少しマンネリ気味になってきたのと、規模がデカすぎて創意工夫はもはや感じられなくなってしまっている。ドラマ版第一話『ゴッドファーザー編』でも感じたが、圧倒的なマンパワーと資金力を駆使して、相手を騙しねじ伏せる“なんでもアリ”なトリックのインフレーションが目立つ。これはシリーズ全体に言えることではあるが、特に今作に至っては、「お前もダー子の子猫ちゃんなの?」という具合。ダー子に協力する理由も納得感は薄いキャラが味方に多すぎる。前作『プリンセス編』では柴田恭兵や関水渚など、ダー子の手のひらから抜け出して予想外の動きをするキャラクターが存在したため、ストーリーが“本当に”二転三転して面白かった。今作には、ダー子の予想を裏切るようなキャラクターが不在しているといって良いレベルである。「すべてダー子の手のひらの上でした」でも全然かまわないのだが、限られたリソースで創意工夫をして、人材も資金力も圧倒している相手を倒してこそ、騙されるという所にカタルシスが宿るのではないかと思う。

【まとめ】
 前作よりもややクオリティは下がったが、ファンなら十分楽しめる作品。


以上