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アウシュヴィッツ・レポートのAcneのレビュー・感想・評価

4.0
過去を忘れる人間の歴史。

アウシュビッツ収容所の惨劇の事実を知らせるために奮闘する二人を描く。

ナチスがユダヤ人迫害のホロコーストなどは有名で多くの映画でも描かれていますが、
恥ずかしながら戦時中にその事が他の国に知られていないことは知りませんでした。

アウシュビッツ収容所の様子はまさに地獄。
その悲惨な様子を映し出し方がうまいなと感じた。

突然画面に映される死体の山に何も動じない主人公。死体の山に隠しものをしているなど、その光景が日常の光景として描くことにより、
いかにイカれた場所かをこちらに伝えてくる。

ぐぅーと引いていく画面に徐々に映し出されるのは、顔以外は全て地面に埋められたユダヤ人。
引いた画面になり、何をするのかと思ったら馬でその顔を踏み潰す。
 
ナチスの非道な虐殺を半ば冗談半分で聞いている赤十者の職員に向かって、徐々に徐々に近づいていくカメラ。
長回しのカメラが顔をアップ捉えた時に、悲惨な現実に言葉にならないような表情をするとこを映し出す。

アウシュビッツの全体や、ユダヤ人を銃を突きつけて問いただすシーンなど
この画面構図相当こだわっているんだろうなと印象的になるショットが多かった。
バカっぽい言葉を使うと、センスが良くてより印象的なシーンなるように映し出している。

ただ、アウシュビッツの惨劇を伝えるために収容所の二人が冒頭から身を隠していたため、
彼ら二人が悲惨な目にあったシーンが無かった分、終盤の報告するシーンの重みが少し弱かったように感じた。

尺上30分程延びても良いので、そこは入れても良かったかもしれない。

重苦しい空気感とヒリヒリとした緊張感がある映画で楽しめました。
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