ソンガンガンホー

アウシュヴィッツ・レポートのソンガンガンホーのレビュー・感想・評価

4.2
アウシュビッツビルケナウにおける被収容者が脱走して収容所の実態を外にレポートした実話。
この映画はその実話の過去を眺めるのを目的とさせない。ひたすらに現在を考えさせるものだと思う。
冒頭シーンの文と首吊りシーンの「イェーイ帰ってきたぞ」のカード、そしてエンドロールの現代ポピュリストたちの演説。これが何よりもこの映画が他のホロコースト関連映画との違いかもしれない。
内容はそれほどドラマ性にとんではいない。もっとドラマ性を持たせることもできたし、残虐性や暴力をもっと際立たせることができたと思うが、あえてしなかったのだと思う。それでも十分にそれらは伝わってきたが。
繰り返しになるが、何よりもこの作品が問うてくるのは今である。そしてそれができないという例えは映画の中にも入っている。