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スペンサー ダイアナの決意のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.7
この短期間でエリザベス女王、からの、マーガレットサッチャー、からの、、、ダイアナ妃。

イギリスの王室や政治の渦中に飛び込んだ女性シリーズ。

1997年8月31日、交通事故が原因で命を落とすダイアナ妃。
事件当時、彼女を追いかけ回してたパパラッチが現場で救急車呼んだり、救助活動もせず写真撮影に勤しんでいたことが大きな話題になっていた。

歴史や伝統を重んじるイギリスの王室に入り、子供、つまりは世継ぎを授かったダイアナ妃。

肝心な夫のチャールズ皇太子との夫婦仲は既に冷え切っている。
それどころか、彼には不倫の噂もあったり。

子供たちとの時間は変え難く、彼女の癒し。
だけども、それ以外の王室業務や伝統的な会合、その他の王族関係者、彼女の衣装などの世話係とのやり取り、、、何もかもが窮屈。

彼女の心、精神は、とうに限界を迎えていて、破綻している。

そんな彼女や彼女に起きていることは、常に見られている。他の王族にも、世話係にも、そして、マスコミにも。
どこにいても誰かが来て、次の行動を催促してくる。

彼女の気が休まる場所などどこにもなく、ここまで来て、これ以上、何を為すのかもよくわからない。
ただただ言われるがまま、決められているがままの毎日をこなす。

彼女の抵抗なのか、色んなところに遅れて出向いたり、衣装係の目を盗んで違う服着てみたり。

その度に内からも外からも非難に遭う。
“本当の自分”はどこへ、、、。
“決められたことを決められた順でやらない”ことは、変なこと、おかしな人、になる世界。

市民の自由を願い、その象徴としてあるはずの王室。
儀式も、服も、料理も、何もかもが決まっているこの環境下で。
夫は都合よく適当にしながら勝手なことを言って縛り付けてくるこの環境で。

ちょっとしたことも自分ではできず、この環境が彼女にとっては苦痛の積み重ねでしかなく、ただただ皆の期待と羨望の眼差しを受け止め背負う重責と向き合いながら、、、破綻していく。

いよいよ限界の限界まで追い詰められた彼女は生まれ育った故郷で決意する。

この作品のテーマとイギリスという国を象徴するかのように本当にずっと空が“どんより”している。

アンティークというか、本場の格式高い伝統的な様式美も、この作品を通して観るととても寒々しい重みを感じる。

それを守り、続けて行くことも大切、役目。
だけど、それしかなく、埋もれて行くしかない、不自由さ、不憫さ。

彼女が抱くこの如何ともし難い苦悩、疲労、絶望。
そして、クリステンスチュワートの名演技と、実際のダイアナ妃の末路。
そりゃ、何かが狂っていくのも納得してしまう。

事実に基づいているとはいえ、これが事実ならばここまで赤裸々に描いても良いのか。
波瀾万丈というか、がんじがらめというか。
ある意味、予想通りの雰囲気の作品ではあったが、凄まじい彼女の人生の断片を垣間見れる作品。

彼女が唯一頼りにしている衣装係、サリーホーキンス、素敵。

そして、ラストシーン。
あんなおしゃれなところでケンタッキー、食べたい。すごく良い。めちゃ羨ましい。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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