【本名はペンギン・ブルーム 】
Netflixの近作。胡散臭い難病モノとは一味違うらしいな、演じるはまあ好きなナオミ・ワッツだし…と思い見てみたら、最後は家族で泣け的通俗締めとしてはいますが、いい映画でした。アニマルセラピーの絡ませ方も嫌味がないし。
未読ですが、邦題と同名のノンフィクションが原作。事故で半身不随となったママさん、心の再建。でも“教えてくれたこと”は、この映画に関してはちょっと大げさかな。
原題『Penguin Bloom』の方が、家族物語として後から効いてきますね。
ペンギンとは、迷い鳥としてブルーム家に加わる、カササギフエガラスに付けられる名前なのですね。このペンちゃんを、他にすることがないナオミさんが、イヤイヤ世話することになって…。
善き立ち回りを見せるペンちゃん、演技賞もの。いやいや自然とかわいい。
単に動物に癒されて治る、というのでなく、複合的要因が重なりママが家族が再起する、という流れがいいです。
カヤックがこう活きるか、というところも感心しました。車椅子でなく“海椅子”ね!
ナオミさんの演技は達者で安定、見ていて飽きない。その周囲をかためる皆さんもよき配置で、監督の腕も確かだな、と思わせます。
オーストラリア・ロケも観光目線でない、実のある美しさをたたえ見応えあります。
海…水に幾つかの表情を込めたのがよかった。基本的に、人間を支える水として、物語の背にとうとうと流れていますね。
甘い結末でも、現実を頑張ろう、と思わせる後味。本作の矜持でしょう。
<2021.2.5記>