垂直落下式サミング

アフリカン・カンフー・ナチスの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
旭日旗にハーケンクロイツ!天皇陛下ばんざーい!ちなみに、ガーナ国民の公用語は関西弁なんですって。知ってた?この時点で両手で鼻ほじりながらみてもええねんでって言うてるようなもんや。いてもうたれ!
東条英機に師事してカラテを学んだアドルフ・ヒトラーは、アフリカ大陸はガーナの地に降り立ち、その腕っぷしで地元民を制圧。侵略を開始した恐怖政治に対抗するために、アフリカンカンフーの極意をおさめた若者が立ち向かう!
生きていたヒトラーとゲーリング(黒人)。日本からは東條英機が参戦。枢軸国のイタリアはハブられている。日独ガ三国同盟が世界征服を目論む。
敗残の将によって興された新国家ガーナアーリア帝国は、力がものを言う修羅の国。実際の歴史に対するアプローチの不真面目さと、観客に対するサービス精神の比率が秤量オーバー。
主人公をはじめ、主要キャラには武術経験者のような人をキャスティングしているのか、アクションシーンの動きはわりといい。ハイキックや回し蹴りを軽々とこなしていて、身体能力の高さがわかる。のだけれど、撮りかたはそこらへんのB級どまり。音楽演出もドカドカズンズンチャチャ音が鳴りっぱなしなのがよくない。
いちばんオモロかったのは修行シーン。強そうにみえないメタボ酔拳マスターや、三本指のジョーによる木の実割りなど、ドランクモンキー酔拳へのリスペクトがパナイ。決闘では、指の握力で敵の急所を破壊して仇をとるなど、やることはしっかりやってる。
最後の修行を終えた主人公の前にあらわれる謎の巫女は、まさにアフリカの呪術師ってかんじの装いで怪しく登場し、若者に発破をかける。茶でもしばくか!やったらんかい!
そのあとの復讐編は失速。キャラのたっている気がしたトーナメント出場者だけれど、メインキャラ以外はどれもたいして代わり映えしないし、主人公の修行の成果が発揮される場面がなかなか出てこないし、1試合終わるごとにヒトラーが親指を下げて処刑を命じるのが繰り返されるだけっていうつまらなさ。
ただ、一回戦から二回戦へと勝ち上がっていくにつれて参加者たちの武術スキルもあがっていって見映えするし、兄弟弟子との血で血を洗う同門対決もあり、アドンコというガーナの地酒で乾杯するヒトラー&東條英機&ゲーリング(黒人)という見せ場も一応はあった。
ガーナアーリア連合と、ガーナカンフーの一門の対立がもう少し分かりやすくみれたら、侵略者を討ち滅ぼすガーナドラゴンの怒りの鉄拳が人中に炸裂したかもしれない。
カラテマスターの東條英機は日本人の役者が演じており、セリフとかめちゃテキトーなので一見の価値あり。たぶん、ビートたけしがふざけてるときのイメージで演じているんだと思う。