鹿

カラーパープルの鹿のネタバレレビュー・内容・結末

カラーパープル(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

「カラーパープル」というタイトルに引っかかる。劇中に、「紫色に気付きもしなければ、神は嘆く」みたいなセリフがある。「紫色」は赤とか青とかと違ってあまりメジャーな色ではない。目立たないしそこら辺に溢れている色でもない。でも等しく神が作ったものだから、価値は変わらないし、他と同じように、目を向け、気にかけるべきなのだ。つまり、地上に存在するありとあらゆるものは、どれをとっても蔑ろにしていいものなどない、ということの象徴なのか。他にも違う解釈が複数あるようで、そういうタイトルは秀逸だと思う。
内容で気になったのは、夫に日常的に殴られて逆らうことができなくなっている主人公が、義理の息子に「妻を従わせたい」と相談(?)されて、「殴ればいい」と言うこと。そのせいで殴られた妻が乗り込んで来た時、「あなたが羨ましかったから」と言う。これ、とんでもなく手酷い裏切りだと思うんだけど。その悪魔のような所業に対して、なんかうやむやにされていてずっとモヤモヤする(ただし、サイコパスだと自分がなぜ何をしたのか自覚がないので、そうではない主人公の反省が伝わったからかも知れないが)。
都会に出て成功した女性と主人公の同性愛の描写は元からあったのか?無くても物語として破綻しないので、今の御時世に合わせたのではないかと勘ぐってしまう。
主人公が夫を捨てて行く時、「私にこんな仕打ちをしたあなたは不幸になる!」と言い捨てて、その後天罰みたいに畑が害虫によって荒らされ、夫が「悔い改めます」と改心するのは、そんな理由でいいのか?と思ったし、ラストに向けて相続による思わぬ財産を得て、昔から得意だった裁縫を生かし、女性の自由な社会参加、男女平等の象徴である女性用のズボンを売って自立出来たり、奪われたものが全て戻ってくる安直なハッピーエンドは、ミュージカル用に書きかえられたシナリオをまた映画に焼き直したからなのか分からないが、前半のシビアさに対して釣り合いのとれていないものに感じて、何かを解決できたようには到底思えなかった。

「カラーパープル」に関連して……
世の中には共感覚というものの持ち主がいて、いろんなものが色として見えるらしい。千円カットで短めのボブにされた時、職場で後輩が、「セーラームーンの○○に(髪型だけが)似てますね」と言ってきたが、そのキャラクターが全身ほぼパープル。その後ヘアゴムをプレゼントされたが、飾りがパープルだった。その後輩には、鹿がパープルに見えているのだろうか。
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