Jun潤

戦場のメリークリスマス 4K 修復版のJun潤のレビュー・感想・評価

3.5
2023.01.21

名前くらいは聞いたことがありましたが、まだ見たことが無い上に作品概要もあまり知りませんでした。
日本人監督が、海外俳優を主演に、多くの日本人俳優も起用して戦争を描くという、初めて触れる僕でも名作の匂いがプンプンします。

1942年、ジャワ。
当時その場所には日本軍が統治する俘虜収容所があった。
日本語を理解できるイギリス人捕虜のロレンスは、日本軍のハラ軍曹にぞんざいに扱われていた。
一方、ヨノイ大尉は裁判にかけられているイギリス軍人のセリアズと出会う。
大戦末期、日本からもイギリスからも遠く離れた地で出会った二組の男たちの、収容所での奇妙な生活が描かれる。

ゲキ強サントラ。
映画音楽のことはつい最近知ったばかりですが、坂本龍一の名前はよく目にしていて、今作での存在感もあって、もう日本のモリコーネと言っても過言ではないのでは?(過言だったらごめんなさい)

歴史研究が進んだからか、コンテンツが成熟してきたからか、最近の戦争物の方がドラマも場面もよくできていると思いますが、時代が違うのにこの内容はまぁ感心しますね。
戦争物なのに戦闘シーンはおろか爆撃シーンすら無いのは結構衝撃的ですし、収容所内の現実だけで戦争当時の情勢のキツさや如実に表出化する人間の本性を描いていましたね。
作品が劇的でなくても十分恐ろしさを表現できるというのが、戦争の怖さの一つということでしょうか。
作品の雰囲気的に『わたしは貝になりたい』に近い(こっちが先か)気がしました。

個人的には独房でロレンスが言った、日本人は集団になると狂うというようなセリフは、戦争当時の、大日本帝国で軍事主義だった頃のことだけでなく、現代の日本人に対しても刺さるセリフなんじゃないかと思いました。

良くも悪くも演技で印象に残ったのはビートたけしでしたね。
演技についてはあまり見たことが無く、バラエティの姿も個人的に得意な方では無い方ですが、『バトルロワイヤル』でのイカれた先生役は好きですし、役者自身のキャラクターや表情、喋り方のクセもあってハマるキャラはハマるしハマらないキャラはハマらない、0か100の人なのかなと感じました。

今作のようにリバイバル上映されでもしないと、なかなか昔の作品に触れようという気持ちにならないので、貴重な機会でもありますし、こういうチャンスは今後も逃さずいきたいですね。
Jun潤

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