笑えた。にんまりと。
素晴らしきムン・ソリ劇場。
脚本に惚れ込みプロデューサーも担った女優ムン・ソリの才能が咲き乱れ。
角田光代がレコメンドコメントを寄せてたけどなるほど。序盤は低音な不協和音がじわじわと波打つ。中盤からはぐちゃぐちゃに絡まる生身の人間の生活の飛沫を感じる。日本映画としても全然成り立つなこれ。安藤サクラなら長女、次女、三女どれもハマりそう。
生い立ちトラウマに加え宗教エッセンスもダクダク注ぎ、新盤『シークレット・サンシャイン』のよう。韓国人の信心深さと宗教心ってたまに滑稽に描かれるけど、本作は思いっきり皮肉的に描いてて面白い。
ただ、
やっぱり軸は
救い
を描いた作品なのでしょう。
救いを求め、祈らなければ平静を保ち続けられない、そういう人生を生きる人も居るんだ。
人生は思ったよりズタボロでカスカスだったとしても、誰か自分の味方が居たらなんとかなる…と思いたい。
そんな感想。
家族って仲良過ぎも嘘臭い。無関心は薄情。永遠に付き合わされる無限ループ。そこが角田光代的で良かったし、ムン・ソリが力を入れたかったのがこういう作品で良かったとも思う。
韓国映画は、最近はキム・ユンソクの『未成年』やWATCHAの『UNFRAMED』など俳優たちがやりたかった映画作品ってこういうほろ苦な人間ドラマが多いことに興味を覚える。是枝監督が韓国で一目置かれてるってのもなんとなくわかって来た今日この頃。