アラシサン弐

三姉妹のアラシサン弐のレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.2
精神衛生に悪そうな話なのに演者の圧倒的なエネルギーと不謹慎スレスレの独特なユーモアのおかげか、不思議と後味の悪さが無い作品。
上映館が少ないのもったいないな。

クライマックスのカオスな演技合戦だけでも凄いものを観た気持ちになる。
この世で一番汚い食事シーン。

韓国の家父長制について詳しくないのだけど、一家の中で逆らえない存在である父親との間に何かしらの事情を抱えて、それで形成されたパーソナリティによって大人になってからの人生に影響が出てしまってる人って普通にいるんだろうなと思った。
次女と三女が酒癖や凶暴性を受け継いで大人になってる描写も皮肉だ。

ただ、三姉妹とも抱えてるものの根底が同じであるから、逆説的に家父長制の存在によって三姉妹が助け合えるし、繋がっていられるという、韓国社会の家族のあり方そのものを真っ向から否定するのではなく、そんな形からでも生まれる希望も感じる。

キツかったり痛かったり韓国映画特有の容赦ないエグ味はあるけど、笑いの要素も一級品。
絶対笑ってはいけないところで生まれる笑いというか、辛すぎて「もう笑うしかない」みたいな笑いを要所で突っ込んでくる。
頭まで沈められるのあれ笑ってもいいのか。
アラシサン弐

アラシサン弐