さらば!2020年という映画を観た。
本作は激動の2020年を皮肉たっぷりのブラックユーモアを交えて振り返っていくモキュメンタリー映画だ。
モキュメンタリーは「擬似」という意味のmockとdocumentaryを掛け合わせた言葉で、端的に言えばフェイクドキュメンタリーだ。
とは言っても、登場人物以外は事実が題材なのでドキュメンタリーとしての要素も十分あると思う。
もしかしたら本作を観て、「まだユーモアを添えて映画化して良い出来事じゃないよ!」と怒る人もいるかも知れない。
けれど2020年という年は終わった。
いや、というよりも誰もが2020年をそれぞれの形で失った。
形はどうあれ一年という区切りは付いてしまったわけだ。
それでも尚こんな最低最悪な事態について沈黙を続けるのは、些か気まずかったのだろう。
少しくらいは冗談を言いたくなる気持ちはなんとなくわかる。
それ故に作られた映画だと僕は思った。
本作に日本は一切登場しないが、2020年に関しては万国共通のトラブルに頭を抱えていた。
あのパンデミックは皮肉にも全人類共通の脅威でありトピックスだ。
2020年という年が来た時、まさかこんな時代になるとは思わなかった。
「パンデミックが起こった後も、初めは日常を無理にでも続けた」という台詞が作中で出てくるが、日本もそれは同じだったように思う。
今になって考えれば過ちかも知れないが、当時誰もが経験したことのないことで全世界が困惑していたことがわかる。
そして、その困惑は今も終わっていない。
「映画みたいな世界になっちゃったね」と友人が以前言っていた。
けれど世界は遂に映画になってしまった。
それも、ディストピアを舞台にした作品の様だ。
もう元の世界に戻ることは叶わないかもしれない。
きっと新しくなっていく。
新しい世界が少しでも良いものであれば幸いだ。
最後に、作中にあった質問を一つ投げかけようと思う。
「2020年から何を学びましたか?」
ちなみに作中にあった回答はこれ。
「ソファから冷蔵庫までの歩数がわかった」
この映画を観て笑える人が多ければ良いなと思う。