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アメリカン・ユートピアのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
4.2
冒頭、デビッドバーンが脳の模型を手に持ち歌う
♬脳のこの部分は使われていない
 脳のこの部分はディティールが詰まっている
 脳のこの部分は左右を結合する部分♬
歌詞が示唆的。
直後に問いかける
「人間の脳の結合神経は、赤ん坊から大人になるに連れてどんどん失われるらしい。それでは我々大人は、赤ん坊より劣るのだろうか」

デビッド・バーンという人は常に問いかけている人だ。
曲が終わる度に拍手が起こると、それをかき消すかのようにジョークを言ってはぐらかす。照れもあるのだろうが「自分(の行い)は拍手を受ける程の人間なのだろうか」と自問しているように感じた。

客席にも問いかける。
「選挙で投票した人は居ますか??」
アメリカでも日本と同様に地方選挙や、低年齢層の投票率の低さ問題なっているようだ。
若者には特に「君達が投票拒否している間に世の中の制度を変えた奴らは笑っているぜ?」と問いかける。
デビッド・バーンの鬼才・奇才的な要素が減り、人間的に丸くなり客に共闘を呼びかけて「共に変えていこうよ」要素が増した印象。

「ストップ・メイキング・センス」のトーキングヘッズ時よりさらに多国籍、多人種、多ジェンダーなバンド編成。
バンドの半分が打楽器隊なのが良かった。(ブラジル、バイーア州出身の方が2人居たかな? バイーア州はブラジルで一番最初にアフリカ黒人がたどり着いた土地で、サンバの発祥地でもあり、現在もアフリカンビートを取り込んだ独特の音楽を生み出し続けている)。
思わず身体が突き動かされるダンスビートに乗せるメッセージソング達。
並んで歩きながら演奏する様はマーチングバンドぽくも有り。

ミニマムなようでいて表現豊かな舞台演出、凄い!踊りはダサかわいい!
単純にコードなしで、あれだけの楽器の音数を音響宅に飛ばしてアンプリファイする技術すごい!
70歳近いのにデビッド・バーンの歌声凄い!(前より巧くなってるような気も)

思い思いの服装で自転車で列になって劇場入りするの、ザ・ニューヨーカーって感じでめちゃ格好良かった!!

(スコアをそこまで高く付けなかった理由としては)
・客席を見ると、殆どが白人富裕層で、年齢は40代以降が大半だったように見えた。
おそらく「ニューヨークに住む意識高めな白人リベラル層」で高いチケットを買える方達なんだろう。
作品のメッセージを本当に実行していくには、ここに来れなかった層に届けてリーチさせて行かなければならないだろう。
そういう意味ではアルバム「アメリカンユートピア」を引っさげてアメリカ最大級のライブイベント、コーチェラ(少なくとも今回のコンサートショーとは違う客層が沢山居てそう)の2018年に出演した様子も観てみたかった。

・もう一つは、音楽性。というか音楽が健全、知的、ポジティブ過ぎる点。
勿論それか本作の魅力なのだが、
ネガティブで
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