しん

クライ・マッチョのしんのレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
2.3
観ている人たち全員にイーストウッドがやりたかったことは伝わったと思います。荒野で生きる人々の逞しさ、家族の離反と再生、老いとの向き合い方などが主要テーマで、その意味では過不足ない内容です。

しかしイーストウッドが生きたい世界なので、その他の登場人物の意志は基本的に無視されます。主人公の少年も例外ではなく、旅を通じてイーストウッドが主導権を手放すことはありません。周囲の理解の上に立つ砂上の楼閣感がどうしても拭えず、その部分は納得できませんでした。

ロードムービー的にメキシコの荒野を紹介しており、部分的には素晴らしい景色に感動したりもしたのですが、最後まで悪い意味で「主観的」な物語だったなと思います。まぁ自分勝手な爺さんを優しい気持ちで見る映画と言われてしまえばそれまでなので、僕の了見(度量)の問題なのかもしれませんが。
少なくとも少年の成長ムービーとしては不足だと思います。
しん

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