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クライ・マッチョのcinecoroのレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.3
土地柄と平日の昼間に観たせいか、シニア層でじんわりと埋まった劇場で、またほのかに加齢臭が感じられる中、91歳のイーストウッドを観るのはなかなか感慨深いものがあった。
あまり面白くはないな、というのが正直なところだけど、全体的にほのぼのと落ちるべきところに落ちつき、抒情を誘うところでかかるべき音楽が重なり、メッセージも非常にストレートで何というか、考えることがない、というのがこのドラマの落ち度なのか美点なのか、まあそれは人によるのか。
特に熱心なイーストウッドウォッチャーではない自分の様な人間からすると観たそばから通り過ぎていってしまうようなあっさりとした作りだったけど、若い頃から追っている人にとってはセリフのひとつひとつが説得力を持って迫ってくるのかも。
周りの人間の口を借りて自虐ともとれるセリフ(老いぼれとか…)を自身に浴びせる辺り、わかってるよ…みたいなイーストウッドの自信すら感じる。
少年の母親の謎のボス感とか滑稽だったし手下もしつこく追ってくる割にあっさり老人と少年に(正しくはチキンであるマッチョに)やられてしまう辺りはわざとやってんのか、と思うほどにおかしみを誘う。
少年を介して英語⇄スペイン語でやり取りする他所者としてのマイク、また聾唖の娘を間に少年に通じない手話でその場の主体が行ったり来たりするフェアネスは良かった。色々文句を言ってしまったけど、馬が出てくる映画は良いな。
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